Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

P・F・ドラッカー氏逝去

P・F・ドラッカー氏がご逝去された。
心から、ご冥福をお祈りしたい。

氏の著書「現代の経営」「イノベーションと企業家精神」は、2度3度と読み返した。私の持っていたビジネスに関する考え方を、根本から変えてくれた著書であった。
企業の収益は、実はモノをつくったりサービスを生産すること自体で生まれているのではなく、そのビジネスの中にあるイノベーションこそが収益力=価値なのだ、という見方は、登場した当時は衝撃であったろうと思う。

その後の「新しい現実」では、既に世界の労働者が「知識労働者」と「知識労働者でない者」に別れ始めていることをふまえて(断絶の時代)その中で従来の「資本家対労働者」という分け方が意義を失っていかざるを得ないことを指摘した。また、教育や公共サービスが民営化されていくだろうことも予言した。ただし、その功罪は棚上げにされた。
氏は、90才を超えてからも、なお著作を発表しつづけられ、現役の学者でありつづけたが、晩年は、棚上げにした公共サービス(教育・福祉も含めて)を論じることが増えてこられたように思う。
おそらく、その狙いは、企業活動の単なる肯定という御用学者の論説とは異なって、最終的には資本主義そのもののイノベーションの方向を探ろうとしたことであったような気がする。

実に偉大な学者であった。
「未だに昨日のスローガン、約束、問題意識が論議を支配し、視野を狭いものにしている。それらが、今日の問題の解決に対する最大の障害になっている」(『新しい現実』)