Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

社員教育について。

先日、NHK職員が、連続放火事件の犯人だったことがわかり、NHK役員が一部報酬を返上して謝罪したことがあった。視聴者から300件以上の抗議の電話があり「NHK社員教育がなっとらん」とのおしかりであったそうな。
この発表に、私はNHKの悪意を感じる。それは、たぶん私がNHKが嫌い故の偏見だろうなぁ。

NHKも、一般の会社も、まさか社員教育において「ひとの家に火をつけてはいけません」などと教育はすまいと思う。放火をしてはならん、などと社員教育してたらビックリ仰天ものである。
そのような批判が的はずれであることは明らかで、ことさらにそんな馬鹿げた抗議の声を報道して「NHKも被害者」というメッセージ色を出そうとしたのではないか?と思ってしまうのだ。

私が最初に勤務した会社は、二言目には「自分の成長のために」と連呼する会社だった。
わたしは、この理屈が大嫌いだった。
そもそも、会社は利益を追求する集団である。会社が社員に努力を要求するのは、会社が利潤をあげるためである。社員は、その努力を通じて、結果として成長するのであり、「自己の成長のため」という理屈が、この「過程と結果を入れ替えた理屈」であることは明らかである。
人が成長するのは、その人が努力した結果であり、それ自体が目的なのではない。
会社が「お前の成長のため」などというのは本末転倒で偽善だろう。

今の会社の社長は「儲けるために頑張ろう」という。
素直である。
正直に言って、言葉を飾ることの下手くそな人だ。
ウソがないのは、私にとってはやりやすかった。「成長のため」などというおためごかしを言わないで「株式公開すれば、みんな金持ちになれる。もちろん、私が一番金持ちになるけど、そのかわり倒産したら首をくくらにゃならん。頼む」と言っていた。
これは当然、真実なので、私も必死に働いたように思う。

社員教育で、「自己の成長のため」ということを連呼するのは、人は自分の利益にならぬことしかしないという了解があり、そこに「自己の成長」を言えば、直接的な報酬を抑えることができるという狙いがあるからである。
しかし、多少、賢い社員は、そんな理屈はとうに承知している。
それを連呼する人間が「さもしい人種」であると見なされるのは必然だろう。

我が社では、自己の成長のため、という教育はしない。
もちろん、他人の家に火をつけるな、とも言わない。
会社は、社員をちゃんとした大人として扱うのが良いのだと思っている。
そういう大人が集まって、当社を発展させてくれていることに、私は深く感謝しているのである。