Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

「美しい国へ」


帰省する道すがら、新幹線の中で読了。
率直にいって「結構まともじゃないか。ふーん」と思った。

だいたい、安倍氏といえば「タカ派」というイメージ(笑)がある。
それで、タイトルは「美しい国へ」だから、こりゃてっきり「夜郎自大のニッポン礼賛」本だろうと、ちょっと期待(苦笑)もあったのだが。
とんでもない。
存外、マトモであった。それどころか、平明な文章で、結構本気で感心したと告白する。

ちょっと心配があるとすれば。

安倍氏は「理念型」の政治家であるように思える。
小泉氏も「理念型」であるが、一方、権謀術数にも極めて長けており、党内抗争をやらせれば抜群のつよさをを示した。私は、政治とは基本的に「理想と現実の妥協の作業」だと考えているところがあって、どんなに立派な理念をもっていても、理念だけでは政治家に向かないと考えている。理念だけなら、それは思想家である。
政治家と思想家の違う点は、理念を現実にうつす時点で、力も用いるし権謀も用いる点であろう。
理念がない場合は、これは「政治家」ではなく「政治屋」だろうと思う。

安倍氏は今のところ「理念」の高さで支持を集めている。それは、間違いないように思う。
願わくば、自らの理念に反しないギリギリのところで、汚辱をおそれないで欲しいと思う。

どっちかいうと、すっかり「理念」を宗旨替えしてしまう「政治屋」が多いからねえ。左右を問わず。
それを思えば、期待が集まるのも、ムリはないのだろうなぁ。

とりあえず、安倍晋三氏の手腕はこうご期待、というところだろう。

でも、この本、決して悪くないよ。すれっからしの私でも、ちょいと胸が熱くなるようなフレーズがありましたなぁ。
評価は☆、というあたりで。

もちろん、氏が総理として素晴らしい業績を残した暁には、三つ星推薦付きになることは間違いありません。実績があってはじめて名著になるのは、この種の本の宿命でしょうね。