Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

鉄の女サッチャー女史逝く

「鉄の女」元英国首相マーガレット・サッチャー女史がご逝去。一時代を画した政治家であった。お悔み申し上げます。

サッチャーといえば「家庭の問題が理解できる女は、国家の問題もより理解できる」というセリフが有名。というと、日本の女性政治家の「台所感覚」の先駆者、という単純な評価があるかもしれないが、実はそうでもないらしい。
当時の保守党には、そもそも物価を知っている政治家自体がほとんどいなかったのだそうである。
日本でいえば、カップラーメン一食の値段を聞かれて「400円くらい?」と不用意に発言しちゃった麻生元総理みたいな人ばっかりだったわけだ。だから、彼女は「私は、物価を知っている」と吠えたのである。
つまり、ダメ男揃いだった党友への喝、という見方もできるわけである。
もともと保守党政治家としては、平凡な家庭に生まれたサッチャーの面目躍如であろう。

ご存じ、新自由主義的政策によって「英国病」を克服したサッチャーだが、しかし、福祉切り捨て等の批判も浴びた。
最後には人頭税の導入とEU参加議論で揉めて退陣。

人頭税というのは、医療制度改革が発端だったように思うが、つまり「すべての人に同じサービスを保証するのであれば、すべての人が同じ税負担をすべきである」ということで、貧富に関係なく頭割りの税を導入しようとした。
で、これはさすがに税の所得再配分機能を否定するものでダメだというので、猛批判を浴びたのである。
もちろん、経済的な理屈では正しいのであるが、政治は経済学と必ずしも常にイコールでない。

EUについては、ヨーロッパ共同体という理念そのものがサッチャーには受け入れられなかった。
欧州諸国は、互いに競争して良い国になるのであって、助け合いなんて無理だ、というのがサッチャーの持論だった。
結局、この主張によって英国内の世論も別れ、英国はEUの通貨統合に乗り遅れる結果となる。
しかしながら。
そうした「助け合い」に乗っかったギリシャやスペイン、イタリアなどの放漫財政はとどまるところを知らず、EU危機を招いたのはごく最近で、周知のとおり。
一方、独立を保っている英ポンドは。米国依存を強めており、欧州における米国代理人みたいになっている。
評価は色々とあろうが、すくなくとも、サッチャーの予言は、現段階では当たっていたわけである。
死せるサッチャーは、生けるEUを走らせた。
瞠目するしかない。

もともと、女権主義者(フェミニスト)であった。
しかし、単にフェミニズムの枠にとどまらず、男よりも強い信念で、国難に当たり、確かに成功を収めた人である。
フェミニズムを唱えるよりも、その実力で、女性に政治家が務まらないという俗論を打破してみせた。
まさに偉人であると思う。

個人的な希望だが、そろそろ、日本にも女性首相が出てきても良いように思うのである。
女性政治家の層も、だんだん厚くなってきた。
安倍さんの次(その次あたり?)に期待してみたいもんですなあ。