Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

地方再生について考えた

KABUさんの記事を拝読しつつ思った。
私も、田舎の出身である。たいへん人口が少なくて、貧乏だ。そして、住民は、あきれるほどノンビリしている。

イギリス人が、東京から東海道新幹線に乗り、顔を真っ赤にして怒ったという話がある。「なんてひどい国なんだ!」
彼が怒ったのは、東京から離れても、ずーっと「同じ風景」が各駅で続いたからであった。

55年体制の日本は、自社対立なんてなかった。日米安保といって、実際にはアメリカの核の傘の下で「祭り」をしていたにすぎない。だって、その政策は早い話が、自社どちらにしたって「中央で金を集め、地方に配分する」だけであったから。
地方都市の望みは、「ミニ東京」になることだけだったのだ。地方交付税を確保することが、地方出身国会議員の仕事であり、その交付税で道路や橋やダム、ホールを造った。結果、日本の産業別事業所数において、なんと建設業が6割以上を占めるという国になった。
最後にもう作るモノがなくなって、竹下内閣は「ふるさと創生事業」で現ナマ1億円をばらまいた。

その果を見んと欲すればその因をみよ。

税収が減って公共工事が減ると、バタバタと建設業が倒産した。立派な道路が出来て、気楽に往来できるようになると、大型スーパーに人びとは買い物にいくようになり、地元の商店はつぶれた。どこの市に行っても立派なホールがあるが、そこで行われるコンサートや演劇が世界はおろか日本国内ですら取り上げられることは滅多にない。

地方が豊かになることとは、いったい何だったのか?
小泉内閣で「格差」が大きくなったと批判している小沢氏は、もう一度中央から地方に金を分配しようと言うのだ。地方交付税という名の「点滴」がなくては生きていけぬ身体に誰がしてしまったのか?その反省はいったい誰がするのだろうか。

私の地元は、軽乗用車が多い。なぜかというに、高速道路がないから、県外に出て行きにくい。通勤や買い物であれば、軽自動車で足りる。ガソリンも安いし、税も安い。道路が狭くても間に合う。
私の地元は、日本で最も酒蔵の倒産がない。生産酒は、ほとんどすべて県内で飲んでしまうから。もちろん、東京に好事家のために少数出荷しているが、もともと小さな蔵ばかりだから、過剰な設備投資や在庫でつぶれることがない。
私の地元は、小さな市場と交通の便の悪さの当然の結果として、もっとも県民一人当たりの賃金が安い。だから貧乏県だという。

私の町では、今まで簡易水道を使っていた。山の清流だから、実はほとんどそのまま飲める。一応、濾過池があって小さな塩素タンクがある。水道をひねると、ミネラルウォーターがでてくる(笑)胸にしみこむ旨さである。この簡易水道を、もっと容量を大にして、最新設備にすると町は言う。そうすると、今まで500円だった水道代が1500円になる。
経済統計上は、500円の消費が1500円になれば、GDPが増える道理である。だけど、これで3倍豊かになるといえるだろうか?町の人は疑問に思っているけど、工事を請け負う会社が町長の親戚だというので、仕方なく皆黙っている。

地方の再生ってなんだろう。
私にたった一つ分かるのは「中央の補助金で建設業が儲かっても、それは豊かとはいえない」ということだ。
東京のマネをしたって、いいことなんかないよ、と思う。

安倍晋三氏の「美しい国」という言い方にならえば、「小さく美しい地方」である。人が幸せに暮らすのに、不必要なことをすれば、それはかえって貧しくなるもとだ。
治水工事も何もしない、ただ人の手を入れなかった四国の四万十川こそ、いま日本でもっとも豊かな(自然も経済も)川になっていることは、たいへん参考になることだと思うのである。