Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

次はロシア。

安倍首相は、マスコミ流にいえば「アジア外交の立て直し」に懸命だ。中国、韓国に相次いで訪問。その間に「村山談話」「小泉談話」の継承を発表、従軍慰安婦問題に関しても従来通り、政府として認めるスタンスを示した。
おそらく、安倍支持層の何割かは「失望売り」に走っているのではないかな。

これらの政策は、以前からの安倍氏の主張とは明らかに異なるものだ。では、何故、このような行動をとるのか?私はおそらく「米国の意向」だろう、と思っている。日本の首相は、米国の言うことなら聞くので、自分で発案したとは思えないのである。

中国や韓国との間には、少なくとも、民間ベースすなわち経済ベースで見た場合に、何も問題はない。中国のGNPの4割が対外投資で成り立っており、その筆頭が(香港経由を除く直接投資額で)日本である。韓日貿易においても、何も問題は発生していない。
小泉政権が証明してみせたことは、政治などは、国境間の経済活動にとって「あってもなくても関係ないもの、どうでもいいもの」だという事実であった。あえていえば、金がかかるだけムダである。
阿部首相が、この経緯を知らぬはずはない。

政治問題は、行き着くところ「経済」か「軍事」である。「外交問題」も、行き着くところは「カネ」か「戦争」か、どちらかが問題なのである。現状「カネ」には問題がない。つまり、軍事に問題があることになる。日本人は、戦後の平和思想の影響で、経済以外の問題には目を配らない傾向があるのだが。

阿部首相の外交のおけるメインテーマは「拉致問題」の解決につきる。そのためには「対話と圧力」と言っているが、その意図が「圧力」にあることは明白である。現に、阿部政権に変わってから、対北制裁は次々と強化されている。
「さらに事態が悪化した場合のオプション」も、考慮の内にある。

小泉首相の任期後半には、残念ながら拉致問題に関して進展が見られなかった。「最悪の事態のオプション」を考えた米国は、小泉元首相に靖国参拝の自粛を要請した。「朝鮮戦争の二の舞はゴメンだ、6カ国協議の参加国を黙らせておけ」かわりに、米国議会で演説する史上初の外国の首相にするから、と。小泉元首相は、これを断った。そのかわり「安倍に後をやらせるから、そのときは頼む」とブッシュに言った。ブッシュは納得した。それが「プレスリー訪問」の真相だ。マスコミには「遊びに行ったので、何もしてない」ことになっている。そういえば、マスコミはよろこんで、その通り書いてくれる。首相の悪口を言っておきさえすれば、裏を勘ぐる者はいない。

金正日は、この動きを察知して、突然の中国訪問を行う。「そのときは、人民解放軍が後詰めをしてくれ」しかし、胡錦涛は断った。中国は、経済発展だけで維持されており、その源泉は海外投資と対米輸出である、それをぶちこわしたら国家が瓦解してしまう。
金正日は「中国は、いざというときアテにならない」と不満をぶちまけることになった。

最悪のオプションの場合、韓国は厄介だ。彼らが一番影響を蒙る。そこで、6カ国協議の枠内で黙らせる案がもっとも合理的であった。そのためには、国連で騒がれるのが一番困る。パン外相を国連事務総長に推したのは、国連事務総長は「出身国の利益のために動いてはならない」というルールがあるからだ。パン氏を除けば、韓国で、外交畑に通じた人材はいなくなる。投票では、米国も、強面の日本の麻生太郎も賛成票を投じた。

中共は経済支援さえ約束すれば、軍強硬派も北へ支援を言えなくなる。折しも、江沢民が軍事委員を降りて胡錦涛に軍の実権がうつった。ここはなんとしても、カネを握らせておかなくてはならない。訪中を決めた。もちろん、おみやげも決まっている。

6カ国協議のメンバーを考えると、あとはロシアだけで終わる。ロシアは想定外の銃撃事件が起きたが、型どおりの抗議しかしない。後のことを考えると都合が悪いからだ。サハリンのガス田開発が環境問題で遅れているが、本音は利権がプーチンにおちないのでプーチンが不満なのだ。だから、次は共同開発で利権をプーチンにおちるように、ルートをセットしなおす。それで熊は黙るはずだ。

着々と包囲網が敷かれていることを知っている金正日は、核実験を強行するしかない。しかし、北の備蓄しているのはプルトニウムである。濃縮ウランと違い、起爆装置が問題になる。インドの初期のような4トンもある起爆装置では、ミサイルはおろか、北の爆撃機にすら積めない。小型起爆装置を持つことを示すには、核実験は米国の衛星の下でやりたい。だけど、その技術がない。やっても地下だ。見透かしている米国はハナで笑っている。

次はロシアだ。それで準備が完了する。金正日は、決断を迫られることになる。

皮肉なことに。「いきづまったアジア外交」のほうが、平和のためには良かった。行き詰まりが打開されるということは何を意味するのか?少なくとも、我々の生活が良くなったり、税金が安くなったりすることではない。怖ろしいものが、その先にあるようにしか思えないのだ。