Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

低度情報化社会

「低度情報化社会」コモエスタ坂本

「我々は高度情報化社会に住んでいるのではない、低度情報化社会なのだ」というのが本書の主張である。
その基本的な指摘を一言で言うと
「ネットを通じて様々な人間の情報が交流することによって『低位標準化現象』を起こす」ということである。

当たり前なのだけど、情報というのは玉石混淆である。世の中の常として「玉」は少なく「石」は多い。だから、情報が平準化することで、必ず平均レベルは下がる。
ネットのような双方向性の情報の場合、情報の送り手と受け手が同じ世界にいるわけで、低位平準化した情報を受け取った受け手が、今度は情報の送り手になった場合に、さらに「石」が増える。ちょっと前の評論家の名セリフ「一億総白痴化」そのものの論法ですな。

そういえば「一億総白痴化」は、テレビメディアに対する批判としての言葉だった。新メディアというやつは、必ずこの手の批判を免れるわけにはいかないものらしい。

評価は☆なし。
本書の主旨は大いに認める。だけど、どうも文章全体に品位がない。なんというか、本書自身が批判するところの「便所の落書き」と同じような、一方的批判のスタンスが感じられるのである。どうも好きになれないので、評価しない。私は「白痴」のほうに近い人間だから、好き嫌いで物事を決めるのである(苦笑)

ただ。
本書の巻末に近く、なかなか鋭い指摘もあった。つまり、ネット環境だと、どうしても「同じ穴のムジナ」との交流が増えてしまう。ま、政治系ブログなんかその典型だけど、全く立場を異にするものがファンになったりしないワケですな。
当然の結果として、同好の士とばかり意見交換することになってしまう。そのような環境に慣れてしまった人間は、おそろしく「許容幅の狭い」人間になるだろう、という指摘である。
これは、たしかになるほどな、と思う。
私にしてからが、ついつい「攻撃的コメント」でケンカばかりしていた時期があった。全く愚かな話であって、今にして思えば赤面の至りである。ああ、恥ずかしい。

「ちょっと違うのじゃないかな?」とコメントをつけて、あるいはそういうコメントをもらって、「なるなる、それもあるかなあ」と考える。たったそれだけのことが出来るまで、私のような人間はずいぶん手間取るものなんである。
そういうことができるようになった、そういう方々とネットを通じて話しあえる、それがブログの楽しさかなあと思う。

戒めは必要だと思うけど、そう非難するべき対象ではないと思うんだよね。つまりは、こちらの心の問題。そういってしまえば、みんなそうなんだろうけどね。