Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

タルタロスの審問官

「タルタロスの審問官」フランク・ティリエ。

夏バテが今になって出てきたらしく、体がだるい割には眠りにくかったりする。幸い連休なので、ゴロゴロと寝てばかりいる。もっとも、好きな音楽を流しながら、ミステリ小説などを読んでいると至福である。何の生産性もない時間が、たいへん貴重で仕方がない。
どうも、私はマルクスの想定した人間とはかけ離れて、無為徒食に生きがいを見出すのかもしれない。

本書は、フランスの新人作家によるハードボイルドで、いわゆるシリアルキラー(連続殺人鬼)と刑事との対決モノである。
だいたい、ハードボイルドで欧州作家というのは珍しいので(ハードボイルドは基本的にアメリカ文化の産物)ちょっと興味を惹かれて読んだ。

主人公のシャルコは警部だが、半年前から妻が失踪している。なんの手がかりもない。子供はない。不安な毎日を送っている。
そこに、第一の殺人が起こる。まだ若い未亡人が死体で発見され、しかも死体には長期間の暴行の後があって、凄惨な「飾りつけ」がされている。主人公が捜査から戻ると、メールが入る。「どうだい、趣向は気に入ってもらえたかな。。。」犯人からの挑戦状である。
主人公が犯人を追っていく先々で、次々と殺人が起こり、死体が増えていく。シャルコ警部は、すんでのところで犯人を取り逃がし、犯人の「作品」の完成を妨げる。怒った犯人は、シャルコ警部の身の回りの老婆(預言者)、心理捜査官を次々と殺害。
そして、とうとう最後に、シャルコ警部は意外な犯人に気がつく。

評価は☆。新人デビュー作品としては、非常にこなれているな、というのが第一印象。
しかし「ハードボイルド」「推理」「シリアルキラー」「ホラー(超心理)」「コンピュータ型コンゲーム」などのおいしいところのごった煮という印象もある。
海外ミステリを読みなれた人だと「なんか見たような」連続になってしまうかもしれない。

本書では、SM趣味が物語の背景に使われている。日本の「縛り」は、その世界では高名らしくて、何度も言及がある。そんなことで有名でもねぇ。。。どうにも、ついていけない世界ではある。
フランスでは、日本の「オタク」文化が有名だと思っていたが、そのほかにも、意外と有名な分野があるということである。日本人って、いったいどう思われているのやら(笑)