Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

腰抜けの考えるところで

テロ特措法の延長に関して、国民の意見は今や真っ二つですな。私は、それを「民主主義は、案外真実に近い」と言いました。
でも、それじゃ説明責任を果たしていない(笑)ですんで、私見をグタグタ書きます。ま、政治素人の商売人がテキトーに見たところ、ですな。

まず、今後の世界の紛争のタネになるのは、「石油」と「食料」ですな。外交問題は、早い話がこの2つのどっちかに着地すると思えばいい、これが基本だと思いますね。

今、ブッシュ政権がアフガンやらイランやらに出かけていっているのは、つまり石油が欲しいからです。皆さん、ご存じの通りですなぁ。テロとの戦いは、ただの旗印でしょうね。
では、なんで日本がノコノコ、米国の腰巾着をやっているのか、といいますと。
それはもちろん、日本に独自外交をする能力がないからで(苦笑)もう一つは、やっぱり石油が欲しいからでしょうね(笑)

世界の石油埋蔵量ランキングは1位が中東。2位は?はい、ロシアですね。ちなみに天然ガスは逆で、1位がロシア、2位が中東です。
するってえと、先だっての安保理の「感謝決議」で、ロシアだけが棄権した理由がわかります。日本は余計なことをしないで、ロシアから石油を買え、と言いたいわけです。
ロシアが日本の行く末を心配して「米国の属国じゃいけません」などと忠告してくれるわけがないじゃありませんか(笑)。

それはそれとして。
なんで世界各国が「米国のせいで、渋々」というフリをしながら(笑)中東に行くのかといえば、実は石油のピークアウトが、すぐそこに迫っているから。2010年か2011年あたりだろうと言われてます。
つまり、現代の文明は石油を使うわけですよ。すると、石油の消費量が増える。一方で、探査技術や採掘技術が進歩して、今まで掘れなかった海底油田を開発できたりします。つまり、石油の生産量も増えるわけで。
私たちの子供の頃は「石油の寿命はあと30年」と習いました。今も「あと30年」です(笑)ずーっと右肩上がりっちゅうヤツで。
そのまま、永久に「あと30年」なら良いのですが、やっぱり地球は有限なので、そうはいきません。
石油はある日突然になくなる訳ではないので、その前兆があります。それが「ピークアウト」で、つまり石油の「消費量の伸び」が「生産量の伸び」を上回った年を言います。
現状では、新規油田の発見が、まだ消費量の伸びとイーブンです。だから石油価格は安定しているわけです。しかし、もう苦しくなってきていて、2010年頃には逆転するんじゃないか、と。
物価は、需要と供給の関係で決まるのだから、その年から「毎年石油価格が高騰し続ける」ことを意味します。

これは、さらに新たな問題に波及します。石油価格が上がれば、すべての物価が上がるが、その中でも深刻なのは「食料」が値上がりすることなんですな。
現代の食料は、すでに「石油製品」であります。化学肥料や農薬だけの話ではないんです。水利事業をするのに使うコンクリートも、トラックも石油で動くし。だいたい、労働者自体が石油なくして生活できません。
そこで、簡単に石油と食料をカロリー計算で比較するとどうなるか?これはデータがあります。
米国は1カロリーの石油で1カロリーの食料を得ます。日本は、3カロリーの石油を使って、1カロリーの食料を得ます。能率が米国の1/3ですね。
日本の農業が国際競争力がない理由はここでして、つまり単純に米国の3倍の価格じゃないと売れないからです。政府は、農業の大規模化を主唱していますが、国民の理解は得られていません。もうダメだろうな(泣)。
日本の食料自給率は40%を切っていますが、米国は100%を超えている。
日本の食糧自給率は年々下がっておりまして。「食料は買えばいいじゃん」ま、そうなんですが。。。

はい、今度は世界の食糧輸出力ランキングを見ます。1位米国。3億3千万トン生産して、8000万トン輸出に回せます。2位はフランス。6600万トンのうち、3000万トンを輸出できます。

これが大事なんですが、石油が値上がりすると、食料も値上がりします。当たり前です。石油大国のロシアと、食料大国の米国の覇権争い。フランスが独自路線をとれるのは、食料があるからですなぁ。
そう思うと、実にシンプルです。

はい、するってえと、日本としては何を考えれば良いのか?
まず石油価格が高騰すると、日本の農業がますます衰退するってことです。石油3使って食料が1ですから。その石油が値上がりするんですよ。やっていけません。だから、農家がどんどん廃業します。
予想では、石油のピークアウト以後で、だいたい日本の食料自給率は25%程度にまで下がる。
足りない食料をどうしますかね?

これを考えると、日本は「誰が石油を売ってくれるか」「誰が食料を売ってくれるか」しかないんですな。これが日本外交のテーマです。あとのことは、それができてから考える話じゃないですかね。

日本が食っていこうと考えたら、食料は米国様(笑)におすがりするよりほかにないじゃないですか?あとはフランスですけど。実は「先進国」は農業大国でもあります。フランスの次は?ドイツでおよそ1000万トン。
ま。フランスとドイツはEU内で他国に食料を売るでしょう。特に産油国の英国とノルウェー。日本に回す分はないでしょうね。

さて、米国から食料を買うためのカネはどうしますか?
それは、石油を買うしかないんですよ。そうしないと、外貨を手に入れるための輸出産業が成立しなくなりますからね。
ほら、日本は「加工貿易立国」。小学校の社会科で習いましたよね。資源のない国だからがんばろう。今の教師は、そんなこと言わないかな。みんな平等が大事だもんね(笑)

じゃあ、石油を売ってくれるのは誰か?もしも「中東」であれば、答えは「中東」、、、じゃなくて、実際は米国の石油メジャーなんですな。
実は困ったことに、石油の探査と採掘技術は、メジャーがほぼ独占しているんですよ。日本の技術でも、中堅メジャー並かそれ以下。ロシアは、油田をメジャーと共同開発して、それから追い出しにかかっています。必殺手のひら返し(笑)それで、またアメリカと緊張してるんですが。

今の日本の中東に関する石油依存率はだいたい85%くらい。米国は3割切っています。あれれ、、、ミステリでしたら探偵は「一番得をする者が犯人です!」と叫ぶでしょう(苦笑)

米国メジャー以外だと、ロシアのガスプロムです。つまりロシア。けど、ロシアから石油を買ってたら、米国が快く食料を売りますかね?さてさて。
もっと言いますと、米国が石油を手に入れられなくなると、日本は文字通り「食えない」人が出るでしょうな。米国の食料の値段が暴騰しますからね。。。

これで問題を整理できました。
1)米国も日本も中東に行くのは石油が欲しいから。道義はただの旗印
2)ロシアは石油があるから、中東に距離をおく
3)日本は食料を買わないと食っていけない
4)食料を売ってくれるのは米国
5)石油の値段が上がると、食料はもっと上がる
6)米国の石油がないと、日本は食えない
7)日本、やっぱり石油をあさりに。。。(笑)

ま、政府自民党のストーリーはこんなもんでしょう。

このストーリーの弱点は分かりますね?そうです「みんな米国頼みじゃんか?!属国かい!」そうです!大正解(笑)
で、「これじゃ誇りもくそもない」と批判が出ますね。
だいたい、もしも、米国が日本に「食料を売らない」と言い出したらどうしましょう?

実は、可能性はあります。それは、米国が「中国に食料を売る」と言い出した時です。
だって、米国が満足するカネを払わなきゃいけないですから。払える人は、手を挙げて。ね、ほかにいませんよね。

中国の食料自給率は、今はちょうど100%くらいとみていいです。ただ、昨年から入超にはなりましたね。。。このままですと、確実に「食料輸入国」です。
では、中国は米国から食料を買えるでしょうか?

中国の政治家はどっかと違って優秀なので(笑)着々と準備をしています。
つい最近、米国で対中貿易に関する制裁法案が上がった途端、中国は米国債をNETで売り越しました。米国は、おかげで法案をすぐに引っ込めましたね。米国の財務収支が赤字、これが弱点ですから。
中国は、米国との貿易を何が何でも守るつもりです。
これは、支那事変のとき、国民党が日本に宣戦布告をしなかった理由と同じです。歴史は繰り返していますなぁ。
「そこで日中友好」結構ですな。けど、日本と中国は、実は立国デザインが同じ。資源がなくて、人口が多すぎて、加工貿易頼み。つまり、利害が対立しちゃいます。
少なくとも、石油の奪い合いにはなります。値段のつり上げ合戦。もちろん、産油国には大歓迎です。サハリンの石油を、ロシアが「やっぱり日本に売ろうかな♪」と言い出しました。値切りすぎたのでしょう(笑)

あれれ?!ここで、気づきませんか?石油と食料が、もし米中で包囲されると「ABCD包囲網」そっくりですね。。。石油がなくなると、食料もなくなる、、、経験がありませんか?どっかの国の人(笑)

日本も、米国債を大量に保有しています。しかし、既に中国以下です。カネで勝つこともできなくなりました。実に暗い見通しですが、米国の食料が値上がりし、日本が外貨準備をはき出し終わったら、そこで「別れ話」が出るでしょう。さようなら。金の切れ目が縁の切れ目ですなぁ。
「召使いでもいいので、なんとか置いてください」こういう手しかないかもなあ。

「日本が属国であってもいいのか」と考える誇り高い日本人であれば、当然こう考えます。
「米国相手でも、ハッキリものを言って、対等の立場で独自外交をするべき」
たしかに、独自外交でものを言えば、日本の誇りは取り戻せます。気持ちいいですし(笑)

だけど。
「どんなかっこいいことを言っても、メシが食えなきゃ戦争にもならん」という経験はありませんか?

とすると。
「脱属国」か「メシ」か。黒か、白か。武士は食わねど高楊枝。けど、腹が減っては戦が出来ぬ。日本人としちゃ、そりゃ悩むテーマでしょうが。
民主主義の結果、意見が真っ二つ。ま、ムリもないと思うておる次第です。

で、腰抜けとしては、こう思うわけですよ。
「日本は正義のために、米国とは独自の外交をしろ」は、正論は正論ですけど、政治は文学じゃないと思うのです。道義は食えません。腹が減ったら、考えが変わらないとはいえない。
食えているうちは、右傾化だの海外派兵だのといっても、たぶん大事にはなりません。しかし、食えなくなったら、わかりませんよ。それはかえって危ういでしょう。

もっとも、いつでも基本はゼニカネ勘定で「後先考えてからモノ言わんと」と思うのは、たぶん私が商売人だからでしょうな(苦笑)気が小さいね。

ま、腰抜けの考えるところは、たいていこんなもんです。正直にいえば、どっちに転んでも、あまり楽しい未来じゃない気がするのですよ。国論真っ二つなのは、意外と冷静に日本国民は判断しているのじゃないか、本能的に本質は察知しているのかな、などと思ったりもするんですね。