Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

東京の地価が気になるわけ

突然だが、このままでいくと、日米中は「スパイラル下げ」の局面に至り、皆そろって討ち死にするのじゃないか?
どうも、イヤな予感がするのである。

アメリカがサブプライム問題でずっこけて、世界経済を牽引しているのは、今や中国経済である。ところが、こいつが、かなり怪しくなってきている。
私は、「科学的発展観」は中国バブルの軟着陸を目指したものだと思うが、うまくいかないのではないかと思う。

今や、中国経済の投機マネーはすさまじく、上がりに上がった不動産価格が、今年に入ってからさらに11%も値上げしている。「経済成長がそれだけあるので、問題ではない」という見方は楽観過ぎる。
一例を挙げると、中国の国内市場の自動車販売台数は24%も伸びたが、一方で利益率は半減している。各社は「利益なき繁忙」を嫌って、生産調整に入った模様だが、自動車メーカーが既に80社もあるのだから、このまま奈落行きだってあり得る状態だ。
こんな有様になってしまったのは、中国経済中産階級がおもったほど存在せず、小型車が売れずに値崩れを起こしているからである。トヨタセルシオが売れてカローラが売れない国内経済に、果たして先行きがあるものかどうか。

ここで、日米中の「WTO安全保障体制」による経済相互依存、ズブズブの関係を整理してみると。
まず、アメリカは大量に中国からモノを買っている。米国にとって最大の貿易相手国かつ貿易赤字国が中国だ。おかげで中国は巨額の貿易黒字を出して、米国債を買いまくっている。
その中国にとって、2番目の貿易相手国が日本である。日本にとって、中国は最大の貿易相手国である。この貿易では、日本は中国から稼ぎまくっている。実は、日本は人民元など貰っても仕方がないので(笑)ドルを貰っている。で、日本の貿易黒字は依然としてドルで積み上がる。
日中とも、米国債を買いまくるわけだが、それはドルを沈没させるわけにいかないからである。ドルの力というのは、基本的に「ドルを出せば、石油が買える」ことにある。
日本も中国も、資源を持たない国なので、ドルを出して石油を買えなくなれば国が沈没してしまう。中国がロシアと違って、米国主導のイラク戦争、アフガン戦争に協力的なのは、ドルを支えなければならない事情があるからで、事情は日本と同じなのである。
もう一つ、中国と日本は共通項がある。それは、通貨レートが弱いことである。

中国は、通貨バスケット制で国家が意図的に輸出有利に人民元相場を据え置いている。これは米国から批判を浴びている。しかし、本音はどうだろう?チャイナバッシングはポーズに過ぎないのではないか。
日本は、変動相場制のもとで、かなり円安に振れている。対ドルレートでこの3年間に1割下げくらいに見えるが、対ユーロやその他諸国通貨で見ると、2割ぐらいの下げである。
このために、輸出企業だけはどんどん儲かるが、GDP順位はかつての1位から20位まで急落。庶民の生活を圧迫して「格差」問題が出ているとも見える。円が弱いために、実際の資金がどんどん海外に流出している。貿易黒字だけが積み上がるが、その豊かさを享受する方法がない。この構造に、だんだん中国が似てきている。中国も、国内市場が弱く、外貨を投資するところがないのだ。

わかりやすく言うと、中国が日本から輸入した部品を組み立て、米国にモノを売る。代わりに、ドルを中国と日本は受け取る。そのカネが弱い為替相場のために米国に還流する、そういうシステムである。
日米中は、お互いに経済ズブズブ関係であって、日本は中国のおかげで貿易摩擦もなく米国のドルを得られるし、中国は日本から輸入しないと米国に売れるモノができないし、米国は中国からモノを買いまくった挙げ句に、実はカネがもどってくるので豊かな暮らしが出来る。
中国の輸出企業の4割が米国資本だという指摘もあり、つまり、中国から輸出して儲けているのはアメリカ人自身だったりするわけだから。
これじゃあ、戦争なんて起こせない。「本当は、台湾に侵攻する気なんてありません」と中共が言うのは、そういうカラクリがあるからだ。

しかし、である。
中国の経済成長の限界と歪みが、そろそろばれ始めた。たぶん、北京五輪までが生命線で、あとは一気に落ちる可能性があるのじゃないかと思う。
今年のクリスマス商戦から米国で「チャイナフリー」が騒がれると、実は海外投資と輸出で食っている中国経済の底がいよいよ見えるのではないか。
既に、欧米からの対中投資は激減、今や日本が最大の対中投資国になっている。これは中国の国内市場を見ての話だが、先に述べたとおり、国内市場の成長はハッキリ曲がり角なのだ。

アメリカとしては、中国下げになったら、一蓮托生の日本に面倒をみろ、と言いたいのである。ところが、日本の経済成長率はお話にならない2%以下なので、そんな期待は毛頭持てないわけだ。
かくて、中国下げは日本も直撃となる。日中共倒れである。非常に不愉快な話だが、どうにもならない。
そうなったら、アメリカにとって、一体誰がドルを守ってくれるのだ?という話になる。米国にとって、日本や中国が沈むのは構わないが、ドルが沈むのが一番の懸念事項である。

アメリカ自身がドルを支えるとすると、資金引き上げと戦争の危険が出てくる。
まずは、日本の地価相場の注視である。特に首都圏の地価は、国際相場からすると割安なので、今は上昇に転じているが、これがだいたい外国人買いである。今、ちょっと一服感があるように思うが、さて、いったいどうなるか?
ここで下落の動きが出れば、いよいよ危険水域が近いと判断しなければいけない。

もう一つの不安要因は、中国の地方である。
人民解放軍は「田舎の軍隊」である。大日本帝国時代と同じで、地方出身の貧農は、軍隊に入るより他に身を立てる方法がない。彼らの故郷は、今やかなり疲弊しているのだ。
このまま経済が沈没すると、貧しい人々で「食えない」状況が出てくる。軍が反乱を起こすのは、必ずそういう場合なのである。米国が中国を見放した場合、またこのような軍閥支援の可能性が出てくる。人民解放軍が、アメリカの支援を受けるという複雑怪奇な話の可能性が出てくるのではないか。
世界を動かすのは経済であって、思想はその説明のための道具にすぎないのであるからね。

経済を重視するとか通貨を守るとかいうのは、基本的に貧しい人を守る方法がそれしかないからである。
ハッキリ言えば、金持ちに国は関係ない。カネは国境がないから、金持ちはどこにでも行って生きていける。
だけど、貧しい人は、国が沈めば飢えて死ぬこともある。貧しい人は、逃げようがない。これこそが大きな問題なのである。

食えないところに国益はない、と私は思うのだけど。