米軍のアフガン撤退から、たちまち現地の政府は崩壊。タリバンが建国を名乗り、現地は大混乱になっております。邦人たちの脱出のため政府は自衛隊機を飛ばしましたが、正直、どうなるかわかりません。何しろ、現地の通信網はズタズタらしい。交通網もめちゃくちゃ。どうして自衛隊機の場所を知って、そこに行くのか。手段がないわけです。
こんなことになったのも、トランプ政権も、それを引き継いだバイデン政権も、アフガンから米軍を撤退させるという意思が変わらなかったからです。
そもそも、アフガン駐留はテロ戦争の置き土産なわけですが、それだけで米国が出兵したわけもなく。おそらく、アフガンがロシア、中国、トルコあたりと中東を結ぶ要衝の地にあったからでしょう。つまり、米国にとって死活的な価値のある中東、早い話が石油を守るために駐留費は必要なコストだった。
しかし、今や石油はそこまで重要ではないのですね。米国は、シェールガス革命で、自国で石油をまかなえる。トランプはさらに石炭の復活までやりましたので、エネルギーは充分でした。それなら、金のかかるアフガン駐留は無駄になる。そこで撤退を決断したのでしょう。
バイデンも、次はSDGsで脱温暖化をビジネスの種にすると決めています。もう石油を大事にする時代ではない。アフガンは「見捨てられた土地」になったのです。
世界で戦争が起こる理由は、そこにいけば、富があるからでした。
今では、富はネット空間のなかにあります。GAFAを見れば、一目瞭然なのです。
戦争は、アフリカや中東など、いまだに土地と富が結びついている地域限定の現象になりました。
今後の戦争はサイバー空間で起こる、と言われています。サイバー空間に富があるからです。
そういう意味で、アフガンは見捨てられました。
ただし、過去の戦争を見ますと、富以外で戦争をした例があります。
日本でいえば、日清、日露の戦争です。
朝鮮半島に富などなかった。(韓国人は富があったので日本が奪いに来た、というロジックを使いたがりますが)では、何があったのか?それは「地政学的価値」でした。
日本はロシアの南下を食い止めるために朝鮮半島が必要でしたし、今でも支那やロシアとの緩衝地帯としての半島の価値は変わりません。
日本にとって大事なのは朝鮮半島のほか、沖縄、台湾、フィリピンです。
もちろん尖閣もそこに含まれます。
21世紀の「サイバー空間の富」の時代に、なお地政学的な価値が不変であり続けるのか?今後のアフガンは、それを占う試金石になるのかもしれません。