Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

論戦力

「論戦力」筆坂秀世

私は、元日本共産党の筆坂氏を、たいへん高く評価している。こんなことなら、現職のときに、もっと共産党を支持しときゃよかった、と思ったくらいである(笑)
事実、たまに投票してみたりもする。もちろん、その主張を全部肯定しているわけじゃないけど、その他の候補がもっとひどい場合だってあるわけですよ(苦笑)

で、本書であるが、国会における論戦を、筆者が論評したものである。
最近は強行採決流行であるが、そういえば、衆院で与党が採決すると「強行採決」だというが、参院多数の野党が否決に持ちこんでも、誰も強行採決と言わないな。
言葉狩りの一種でしょうかなあ。

筆坂氏の着眼、なかなか鋭く、思わず「ほう」とうなってしまう。
「政治をシンプルにする小沢一郎」訥弁ではあるが、結構論陣はしっかりしている。どちらかといえば1点突破の印象が強い。
「石橋を叩いて壊す志位和夫」言い得て妙。あれもこれも、そのうち分からない。最近は、蟹工船が受けたためか、ワーキングプア問題一直線。しかし、そりゃ年齢的に上の連中は組合に入ってリストラもしにくいし、企業業績の低調から採用を控えると「入れ替え」も出来ないわけで、、、ま、マクロの目で言えば「日本の労働市場流動性のなさ」とかあると思うんだが、まさか共産党はそれを言えないだろうし。
時計の針を戻せるものなら、そりゃみんな反対しませんけどね。もう飽きたな。
「カンは鋭いのだが、、、、福島瑞穂」たしかに、後期高齢者ネットカフェ難民も、この人が言い出した。そういう意味で、カンは鋭いのだ。
けど、結局、少ない持ち時間に詰め込みすぎ。少数政党の悲哀だろうか。
だいたい、後期高齢者もそうだけど、そもそも健康保険財政の半分を1割の後期高齢者が食って赤字になり、その分はまた現役サラリーマンが天引き負担するわけで、じゃあせめて1割を負担してくださいと言ったら大問題になった。
出すものは、何がなんでもイヤ。まあ、有効投票の平均年齢が既に55歳以上ですからね。ジジババにたてつくと生きていけないわけだ、政治家。
しかし、オンギャーと生まれた途端に600万円の負債を抱える子孫名義のキャッシュカードを切りまくって、安閑としていられるのだから、ホントに羨ましいわけだな。ふふん。
このままじゃ生涯負担は1億突破確実なわけですが、サラリーマンの生涯年収が2億だから、ジジババ天国の行き着く先は実効負担税率50%強だよ。ぞっとしますな。
誰か、いい加減にホントのことを言うべきだろうと思うけどな。少なくとも、OECD加盟国の中で日本の教育費はGDP比で突出して低いけど、それは老人福祉(医療費含む)が高くて、両者を合計すると全然OECD加盟国の中でも悪いほうではなくて、つまり「若者よりも老人にカネをかける」政治の結末であって、その結果の少子高齢化でもあると、誰かが言うべきだろうと思うけど。そんなことを言った日には、落選確実だもんね。
そういう意味では、瑞穂たんも、似非正義派だろうと思うね。

などと、まあ、私の見解なぞはどうでもいいんだが、とにかく面白いことは請け合いの書である。
爆笑したのは、小泉純一郎氏について触れたところで「自衛隊は軍隊」発言があった。
日本共産党は、もちろん自衛隊を「違憲」としているんだが、しかし現状、多くの国民が存在を認めているので「国民が認める間は、自衛隊を認める」
認めなくなる時っていったい何時ですか?には腹を抱えたなあ。
つまり、共産党も「自衛隊は軍隊だ」と思っているわけで、結局小泉氏の発言をスルーせざるを得なかったという。
こりゃもう漫画ですよ。

というわけで、評価は☆☆。
筆坂氏、ますます健筆である。

氏の政界復帰はもうないんだろうが、ちょっと期待してみたくなるのである。