Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

大統領を目指した少年

「大統領をめざした少年」ウォード・ジャスト。

少年は、父親と、その友人と、釣りに出かける。
そこで少年は初めてのバスを釣り上げる。彼は喜ぶ。しかし、その獲物は、少しだけ小さかった。
父の友人はリリースするように言う。父親は、せっかくの初めての獲物で、息子にそのままやりたいと思う。
結局、そのまま獲物は料理されるのだが、それをきっかけに父親と友人の距離は広がってしまう。

やがて、父親は脱税で投獄。
少年は苦学して大学生となり、恋人が出来る。しかし、彼女は、交通事故で死んでしまう。
彼は恋人の死に衝撃を受けるが、それは仕事につくことで癒されたと思われた。その仕事は、選挙の世論調査であった。
彼の手腕は認められ、彼はシカゴからワシントンへ転居する。
新しい恋人もできる。
すべてが順調に思われたのだが、恋人は彼のもとを去る。彼は、大学時代の恋人の面影を忘れられなかったのだ。
そこで、彼は自分の原点に気づく。
そして、ついに上院議員選挙への自身の出馬を決意する。それは、かつて失ったものを取り返すためであった。
しかし、彼が出馬すると、同じ党で出馬している先輩女性議員と共倒れの危険がある。
有力者が彼に出馬を取りやめるように圧力をかけてくる。
もちろん、その見返りはあるのだが。。。

淡々と進む人生譚である。
劇的な要素には乏しいかもしれない。日本人には、彼が出馬を決意した心理は、なかなか理解しがたいであろう。
失われた夢と恋人への思い、というような表現で私は書いたが、小説のニュアンスはいささか異なる。
このあたりの機微は、いわゆるキリスト教的なものの考え方が背景にないと、理解しづらいものだろうと思う。
原罪と贖罪、という概念が、多くの日本人には肌合いとしてわからないから。
もちろん、私もその一人であって、ただなんとなく「これがそうかも。。。」と思いついた程度の話である。
他人様には説明できない。

評価は☆。それなりに面白く読めた。ただ、それは私が自分の人生と比較して思うところがあったためで、一般的にはどうかと思う。
そんなに古い本ではないのに、早くも絶版なところをみると、やはり評判もいまひとつだったか。

中年といわれる年齢になっても、相変わらずバカなことばかりしている。
なんでそうなのか?と思うにつけ、少年期のことを思い出す。
ああ、俺は昔からそそっかしくてバカであった、今にはじまった話でないわい、と思う。
そう思うと、落胆するが、しかし「しょせん生まれつきだからなあ」と納得もする。

そんなふうに思う人は、結構多いのではないかと思うのだが。