Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

体質の問題

原発再稼働は必然的に起こるでしょうが、その過程でいろいろな議論が噴き出すはずです。
それと同時に、困った事態がわかってくるはずです。そのうちに出るでしょう。

で、さらに困るのは。
そうやって、なんとかかんとか、原発再稼働するわけですけれども、それでも日本は貿易赤字であることに変わりはないだろう、ということです。
これは日本だけではなくて、先進国の宿命ですが。


アベノミクスによって、やや遅ればせですけど、賃金が上がり始めるでしょう。
消費税も上がるので、上げないと労働者はやっていけません。
で、上がるとどうなるか?
内需が振興される」
はい。
やった!と思うのでしょうが、そうは問屋が卸さない、のです。

問題は2点です。

1)国内労働者の賃金が上昇=企業は、さらに海外移転を進める
2)内需が拡大する=輸入が増える

困ったことに、国内労働者の賃金上昇は、そのまま、海外生産への傾斜を進めます。海外進出の条件が良くなるわけですからね。
仕方がないので、円安誘導を強める。つまり、ドルベースでは、賃金が上昇しないように調整するわけです。
ところが、これで内需が拡大すると、すでに日本の会社は相当数が海外生産していますから、輸入も増えてしまう。ソニーパナソニックも、メイドインタイランドやメイドインチャイナですから。

2008年と2013年の貿易収支を比較して誰でも気が付くのは、そもそも「輸出が減っている」ことです。
貿易黒字とか貿易赤字というのは、企業や家計の赤字黒字とは違いますので(黒字は余剰資金を意味しない)こういう喩をするとよくないですが、日本株式会社でみれば「売上不振」が赤字の原因です。
原発再稼働して「コストダウン」できますが、それでも、「売上の低下」をカバーできない。それは経営体質そのものの問題で、下請けに外注する比率が高すぎて粗利益そのものが取れなくなっているのに、営業活動を活発化すると(内需拡大)固定費だけが増える(輸入増)からです。

まあ、実際には、米国のテーパリングに伴って、日本の円安基調が戻ってしまう可能性が高いとは思います。ドルがリスクオフになったからドルが上がる。円は下がる、と。
すると「大胆な金融緩和」ではなく、単に国際通貨間のリスク評価だけで通貨価値が決まっていたことになるのですが。。。
なので、テーパリングの影響について、甘利さんも麻生さんもコメントしないのだろうと思います。
本来なら、逆の動きになると思っていたでしょうから。

とはいえ、今の経済の動きは、すごくセンシティブなことになっていると思います。
一つの要素だけでは、わからないですね。

本質的な問題は、日本に、本当に国内産で輸出できる商材がないことです。
自動車も家電も、今や海外生産ですから。

アベノミクスでいう第三の矢、成長戦略。これが一番大事なのです。
しかし、そのような新産業の萌芽が、まだ日本に見えてきません。
原発再稼働というコストダウン経営をしながら、社会保障費の切り下げというリストラ策をやるほかないかなあと。そういう意味では、政府の選択肢も相当厳しいことになってきたなあ、と思います。