Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

気楽な外野の再建案。

どうやら東芝は3月期の有価証券報告書も出せないようだ。
監査法人が適正意見を出さないらしい。
短信は無監査で出すという。

これでは、もはや上場廃止は決定的だろう。
有価証券報告書は、東証に出すものではない。当局である金融庁に出すものである。
これが出せないということは、東証の上場審査の話を超える。
監査意見表明がなければ有報でなく、有報がない企業に対する投資を誰が保護できるというのか。
私は、もう東芝上場廃止は9割9分、避けられないと思う。
避ける方法があるとするならば、ウルトラC「官邸の最高レベルが言っている」くらいしか、ないだろうな(笑)。

しかし、これは東芝にとってチャンスである。
どうして東芝はメモリ事業を売ろうとしてきたか?
それは、まず第一に債務超過状態を解消すること、つまり上場維持のためであった。
これが上場廃止になれば、債務超過をただちに解消する必要はない。
時間をかけて再生し、その後、再上場すれば良いのである。
東芝が収益力を回復すれば、充分可能なストーリーである。
可能であれば、経営陣が責任をとってMBOするのが、もっとも良い。
上場廃止を予告して、捨て値で株を買い集めて、再上場すれば、巨額の利益を生むことも可能である。
乗ってくる投資ファンドはいくらでもあると思う。

問題点は2つ。

第一に、キャッシュフローである。
東芝の融資枠はメイン、サブ行を合わせて6000億円超といわれており、この融資の条件がメモリ事業の売却(による上場維持)だった。
ここで、上場維持ができなくなり、メモリ事業を売却しません、となれば、銀行は手のひらを返すだろう。
貸しはがしをする奴も出てくる。
そこで、耐えきれるか?である。
キャッシュフローを生む事業(メモリ事業はもちろんだ)を握りしめて、不採算事業は処分、もちろん大リストラを敢行する。
キャッシュフローさえ回っていれば、倒産することはない。
企業は赤字でつぶれるのではなくて、キャッシュフローを失ってつぶれるのだから、ここを極限までやって、生き残れるか?
これが最大のポイントである。

第二に、不良債権の処理である。
今まで、東芝は優良事業(メモリ事業が筆頭)を売って、本体を生き残らせようとしてきた。
しかし、上場廃止になれば、話が違う。
優良事業を残して、不良な事業を分社化する。
あるいは、優良な事業だけを新会社(仮称;新東芝)に事業承継させる。そうして、本体は潰してしまうのだ。
そうして「足かせ」を切り捨てる。
収益力が見えない原発事業がその筆頭である。
原発事業は、東芝は言うに及ばず、フランスのアレバも、参加の米国WHも、ぜんぶダメである。
安全基準の大幅な引き上げで、過去の契約を引きずっていては不採算なのは見えている。だから捨てる。儲からない事業は、資本主義の原則に則るほかない。
原発事業が儲かるのは、新興国向けに安全基準が緩い案件だけだろう。だが、そういう仕事は支那や韓国のほうが低予算で強い。
競争力を失った事業分野を切り捨てて、そのぶん、有望な事業に投資する必要がある。
メモリ事業は今後も有望ではあるが、設備投資のスケール競争をしないと勝てない市場である。
場合によっては、新会社の業務提携先を探して、そこと一緒に設備投資をすることも選択肢である。
あれも、これも、という総合電機の発想では、たぶん、世界のスケールとは戦えないだろうと思う。。。


などと、外野なので、気楽な再建案を口から出任せで言えるわけですが(笑)経営陣本人たちは、毎日、死ぬ思いでしょうね。
たぶん、ろくに眠れてないはずです。
そのうち、おかしくなる人が出ても、驚かない。それくらい、こういう時は厳しいものです。

せっかくの名門企業なので、ここで死ぬのは惜しい。
ここまでくると、何か目に見えない運がないと、厳しいかもしれませんね。
世界との競争に敗れた日本電機連合の一角ということになるのでしょうが、臥薪嘗胆、なんとか粘ってほしいものです。