Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

意見不表明ふたたび

東芝ですが、3月期決算も監査法人は意見不表明を決めたらしいです。
PWCあらた監査法人が監査にあたっているわけですが、米子会社WHの監査にあたっているPWCが、なお慎重な態度を崩していないようです。
まだWHの損害は膨らむ可能性があります。
となると、東芝の減損の規模も、現在の金額で適正かどうかもわからないです。

12月期決算で意見不表明、3月期決算でも意見不表明となると、半年間の決算の適正性が疑われているわけです。さて、これで年次決算の監査がうまくいくとは、とても思えません。

さらに、今、東証東芝を2部においているわけですが、現在の東芝に対する投資家保護はどうなっているのでしょうか?適正意見のない有価証券報告書は、すでに有報の意味がないのではないですか。
上場して、広く一般投資家から投資を募る価値が、この会社にあるでしょうか?

東芝の「特別扱い」もいい加減にしないと、日本市場そのものの信用性を損ねることになります。そうでなくても、東証の投資家の7割は外国人投資家です。彼らに、日本市場の透明性をどのように説明するのでしょうか?
有価証券報告書を半年間にわたってまともに出せない会社を、市場に上場させているのは、政府や特別利害関係者に対する癒着でないと納得させることができますか?

私は、たとえば上海市場などは一部の特権階級がインサイダー取引で不正利得を得るだけの土人市場だと思ってきました(笑)。日本市場は、先進国の資本市場であり、比較にならないほどの信頼性があると信じてきたのです。
しかし、ただの妄想だったようですね。撤回します。

株は株として、ビジネスで考えますと、発電事業の重心が原子力からガスに動いてきているのが大きいと思います。フクシマをきっかけにして、安全基準が大幅に引き上げられたこと、さらに4号機で使用済み燃料が大きな危機に瀕したことの反省として、使用済み燃料の処分問題が改めてクローズアップされたこと等がコストアップに効いています。
ただ、原子力には安全保障(核武装)という別の価値がありますので、ゼロにはならないですね。

ドイツなどを見ておりますと、いわゆる系統連携の考え方が「スマートグリッド」導入で変わってきています。従来の系統連携モデルは
「ベース電力+上乗せ変動電力」
でありました。原子力は、出力調整が不得手ですがコストが安いのでベース電力に適している、というわけです。
しかし、スマートグリッドが導入されて
「不安定電力(再エネ)+フレキシブル電力」
という作り方に変わってきています。
再生エネルギーは出力変動が激しいのですが、それをスマートメーターで全国メッシュで15分毎に需要と発電を計算し、30分単位で電力不足であればガス発電をする(出力変動に強い)、発電過多だとガス発電を停止すると同時に抵抗(蓄電池や揚水発電)を挿入するという考えです。
この考えですと、出力変動に弱い原発の比率は落とさないと困ることになります。
スマートグリッドは、すでにシーメンス+SAPという電気IT連合で、世界に売り出す構えですね。
再エネは燃料費が基本ゼロですので、再エネを優先して使えば最終的にはコスト的に有利なのです。
すでにドイツでは太陽光のKW単価が既存電力と同じになってしまいましたので、いわゆるFITもやめて、単なる入札になっております。
1991年くらいの時点では、太陽光発電の発生電力ではパネルの製造電力を20年かかってもペイできない、などと言っていましたが(笑)現在では回収が1~2年ですので、そこまで戦えるわけですね。
電力+ITというわけで、日本がやりたがっているIOTなどと全く別方向の強電+ITという市場分野が立ち上がっているわけですが、日本企業の実力では、とうていキャッチアップできないような気がします。
こうして、また遅れていくんですよ。
再エネというのは、宗教やイデオロギーの問題ではなく、今や純粋に市場なのですが。

いずれにしても、競争力を失ったら、市場から淘汰されるしかないのが、資本主義の宿命です。余計なことをすれば、さらに傷を深めるだけでしょう。
東証の公正な判断を望みます。