Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済

財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済」上念司。

いわゆるインタゲ論者といえば高橋洋一氏が有名だと思うのだが、上念氏もそのあたりの論客である。
消費増税とコロナのダブルパンチでアベノミクスの効果は消え失せ、単に巨額の借金が増えただけ的な結末に終わりつつあるわけですが、それにしても黒田バズーカを打ちまくった割にはインフレにならない。
いや、ひょっとすると、とりあえず落ち着いている物価は、実はデフレで下降局面にあるのを金融政策でプラスに引き上げてトントンになっているのかもしれない。
ともかく、増え続ける借金の割には日本国債金利がタダ同然であろうともさばけており、コロナで円にカネが集まっている状況だ。とっとと韓国脱出をはかったウォンとは状況が違う(同じでたまるかい)。
ここは原点に帰って、インタゲ派の本を読んでみようと手にとった。
高橋洋一氏の本でも良いのだけど、氏の主張はネットでもかなり読めるし、なんとなくホリエモンもしくはひろゆき的なディベート最強に加えてアジテーション上手いな、という感じを抱いているので遠慮した。信者になるのは、別にあとからでも遅くないだろう。

まず「日本の借金1000兆円」だが、これについては「逆に資産を無視している」と指摘する。
BSで考えると、負債(他人資本)の部があるなら資産(自己資本)もないとおかしいではないか、というわけである。
それを計算すると700兆円あるじゃないか、という。政府自体は300兆円くらいしか資産がないのだが、あとは日銀という素晴らしい子会社があるからだ。
しかも、資産は年々増えている。
1000兆円の負債があっても700兆円の資産があるなら、別に危機ではない。
住宅ローンを抱えたサラリーマン家庭のほうが、よほど危険である。(これは納得だなあ。。。)

で、デフレ脱却だが、話は簡単でインフレになるまで日銀が紙幣を刷りまくればよいのだ、という話である。
そんなことをするとハイパーインフレになる、というのが通説なのだが、そうはならない、という。インフレは金融を引き締めれば退治できる、制御不可能なハイパーインフレは政策の失敗から起こるのであって、よほどの素っ頓狂なことをしない限り、そんなものは起きない、という。
じゃあ、紙幣を刷りまくれば無税国家ができるではないか、という話はないので、ようはインフレになったらそこでオシマイにすればよいのだ、簡単な話でしょう、というわけだ。

デフレの原因と言われる人口減少についても、そんなものおかしいと指摘する。
人口減少というのは、生産力が減少する。しかし、民間に出回っているカネが減るわけではない。
モノが減ってカネはそのままなんだから、一人あたりのカネが増えて、モノの価格は上がるのが当然である、という(輸入を無視すればただしいと思う)。

だいたい、中国経済が世界第二位なんて眉唾にも程がある、あいつらは嘘つきなのだ、実際はどうだかわかりゃしないという(苦笑)。


評価は☆。
なあるほど、ねえ。

かなり面白いと思う。
ただ、今、これだけカネを刷りまくり、日銀が不動産屋なみにREITまで買いまくっても、インフレにはならなかった。
カネは日銀当座にブタ積みされて増えるばかりなので、マイナス金利を導入。本書に指摘があるように、たしかにマイナス金利の効果はあったんだろうけど、それでも微々たるもののように思える。
なんだかねえ。
「まだ足りんのだ」といえば、そうなのかもしれないけど、さすがになんかヘンじゃね?と思うのだ。
なにか、決定的な要因が欠けているのじゃないかなあ。

思うに、人がカネを使うのは、明日には値上がりするからだけじゃない。
明日には、もっと稼げると思えば、借金するのも怖くないし、カネを使う。
明日値上がりしますよ、と言われても、その明日に不安があれば、カネは使わない。
ようは「インフレ期待」というのが、どうも人間の(日本人の?)経済行動の説明としては出来が悪いのだと思う。
理論と実際が整合しないのは、理論が間違っているのに決まっている。

などと思ったのであるが、経済学は、正直ようわからん。限りなく宗教に近い(良くなりません=そりゃ信心が足りんのや!)と思うんですなあ。