昨日の宮内庁長官の言葉に驚く。
あくまで長官が陛下のご心中を「拝察」した、という形をとっているが、これは陛下ご自身のご憂慮に間違いなかろう。
勝手に長官が陛下のご心中を「拝察」して良いのであれば、何でも記者会見で喋り放題ということになる。そんなわけはないので、つまりは長官発言は陛下のご内意を得てのもの、と普通は考える。
言うまでもないが、陛下は政治に対しては距離を保たなければいけない。もしも陛下がご自身で「憂慮している」などとおっしゃったら、大変なことになる。
それゆえ、宮内庁長官の「拝察」になったのであろう。
陛下は、オリンピック・パラリンピック委員会の名誉総裁でいらっしゃるので、おそらく開会の辞を述べることになる。
もしも、ご自身で開会の辞を述べた五輪で、パンデミックが起こり、日本国民が多数亡くなるような事態になったとき、陛下にいかなる言葉があるか?ということである。
災害に負けずに頑張ってほしい、と言った途端に、何を言う、あなたが開会した五輪でかようなことになったではないか、と言われるような事態になりかねないわけだ。
絶対にそのようなことになっては困るのである。
陛下のご憂慮はまことにもっともなことだ。
そして、このことをよくよく考えてみれば、五輪はそもそも政治とは関係なく、スポーツの祭典なのであるが、それを今の政権が政治利用しているということがあるわけである。
もはや、五輪の開催は動かぬであろう。
しかし、先行して来た選手団の感染者の取り扱いをみるに、とてもバブル(封じ込め)がうまくいくように見えない。
外国人の若いスポーツ選手と、その取り巻き(関係者、という)が、日本政府の言うことを真面目に聞くわけがない。日本の常識は海外の非常識である。
日本人ならハイハイというのかもしれないが、外国人が集まるので、そうはいかないと思う。
この際、陛下の開会のご挨拶はうまく回避するほうがよいのではないか。
そんなことを思った次第である。
ご自分で「嫌だ」とは言えないお立場であるから、大変なことだと思う次第。
なんとか、この損な役回りから外して差し上げるべきかと思うのですけどねえ。