Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

プリズン・ガール

プリズン・ガール」LS.ホーカー。

主人公のペティは3歳のときに母をなくして、父と二人で18年間生きてきた。
父の教育はずいぶん風変わりで、ペティを射撃や護身術、ランニングで厳しく鍛え抜いた。
彼女は学校にすら行っておらず、家は隣家まで20kmもあるような町外れで、外界の情報はテレビだけだった。
彼女が一番好きな番組は「クリミナル・ニューヨーク」で、ニューヨークを舞台にした刑事モノだ。
そのため、彼女は刑事モノのセリフのようにしか、話すことができない。普通の会話ができないのである。
彼女が21歳の年、ある日突然父が死ぬ。
すると、父の友人の男がやってきて、ペティを弁護士のもとに連れて行く。
父は遺言を残していたのだ。
父は、自分に100万ドルの保険金をかけており、その保険金はペティを連れてきた父の友人の男と結婚した場合のみ、彼女に与えられるのだという。
自分の父親とほぼ変わらない年の男との結婚を受け入れるはずもなく、ペティは逃げ出す。
ペティの近所(といっても20kmも離れているのだが)の大学休学中の男の子が、彼女を助けて逃がそうとする。
逃げる途上でペティは弁護士の事務所に無断侵入し、父が預けていた書類や写真を手に入れる。
それは、ペティの亡くなった母親に関係のありそうなものだった。ペティは母親については、まったく父から聞かされていない。
父の友人の男と弁護士は、盗難届を警察に出し、ペティと男の子は警察に追われる指名手配犯になってしまうのである。
一方で、ペティは手に入れた書類から、今でも母親が生きているのではないかと考える。
ペティを追う男たちと、二人の逃避行が始まる。
ペティたちはうまく逃げおおせるのか?そして、彼女の母親の秘密は?


単純な追跡劇が基本であるのだが、そこにペティの母親の謎解きが加わり、それが実は劇的な展開を見せる。
ストーリー上で次々と大きなイベントが起こるので、まるで2時間ドラマのシナリオのよう。
それでも、スピーディな展開はページを捲らせる力は充分。
書き飛ばした感が否めない小説だけど、まあまあ面白かったから、評価は☆。


日本でも今や3組に1組の夫婦が離婚するそうですが、そうなると、子供がどうなるか?ちょっと心配ではありますね。
普通は、月に何回かは子供と面談の時間を設けるわけですが、両親の関係によっては、まったく母の(あるいは父の)ことを知らない子供も出てくるのではないかと。
そうすると、物心がついてから、やっぱり自分のルーツに関心を持つことになるんでしょうね。
ことに、自分自身が結婚を考えるような時期になれば、どうしても、顔を見たことのない親のことを知りたいと思うのが当たり前でしょう。
この小説のケースはとんでもない悲劇が隠れていたのですが、こんな極端なケースではないにせよ、いろいろなドラマがありそうに思いますな。
これからは、父と母がそれぞれ一人づつで、ずっと育ったこと自体がとても幸福だと感じる世の中になるのかもしれません。(いや、父も母も2人3人いたって幸福じゃないか、という反論は当然あるわけですけれども。。。)
世の中、自由に生きられるのは素晴らしいことだと思いますが、「誰にとっても」なのか?ふと考えてしまいます。