Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

ヘッドハンターズ

「ハッドハンターズ」ジョー・ネスボ

週末はいきなり冷たい雨が降り続いた。
それまで、夏の続きのような陽気だったから、愛猫もびっくりである。
仕方ないのでストーブをだしてやったら、喜んで寝転んでいる。
こっちも一緒にストーブにあたりつつ、北欧のミステリを読む。寒い天気で北欧作品の「積ん読」を引っ張りだしたわけだ。

主人公のロジャー・ブラウンは凄腕のヘッドハンター。
美しい美術商の妻、ダイアナと二人で暮らしている。
ダイアナは子供を欲しがっているが、ロジャーはその気になれず、過去に一人、中絶してしまったことがある。
それがロジャーの負い目であり、妻には贅沢をさせている。
当然、かなりのカネがかかるわけで、凄腕ヘッドハンターとしての給料でも足りない。
そこで、ロジャーは、実は面接にやってきた人物に美術品の所持を聞いて、金目の作品を持っている相手の家に美術品泥棒に入っている。
絵を盗み出し、かわりに精巧な模写と差し替えておくのだ。
これで発覚はずいぶん遅れる。
盗品を売りさばいて、カネにしているのである。
あるハイテク企業が新しいCEOを迎えたいという話があり、なんと偶然、妻の展示会にライバル会社の元CEOがやってくる。
実家を相続し、こちらに帰ってきたのだという。
このライバル会社は依頼会社と合併を考えている先であり、そこの元CEOならすべての情報を知っている。
もってこいの候補者である。
ロジャーは彼と面接し、彼がナチスによって失われた名画、ルーベンスの「カリュドンの猪狩り」を持っていることを知る。
ロジャーはいつものように彼を依頼企業の面接を設定し、その不在時に家に侵入し、絵を盗む。
ところが、そのベッドに彼の妻の携帯が忘れられているのを見つける。
なんと、美しい妻は元CEOと不貞をはたらいていたのだ。
嫉妬に駆られたロジャーは、元CEOを依頼企業に不適当だと報告する。
すると、なんと彼の盗品売買仲間が、クルマの中で暗殺されてしまう。元CEOのしわざらしい。
手引したのは妻なのか?
さらに、ロジャー自身にも危険が迫る。。。


早いテンポで犯人からのロジャーの逃走劇が繰り広げられる。
そして、反撃。
ラストには、意外な協力者の正体が明かされる。「すべてはバランス」だと言うダイアナの言葉が印象的。
この作者の作品は初めて読んだが、結構面白い。
評価は☆。

美術品愛好家ならば、さらに作品に興趣が増すのかもしれない。
残念だが、私は絵のほうはサッパリなのだ。
小学生の頃から図工と体育はダメだった。ついでに音楽もダメだった。
長じて音楽が好きになった(それもクラシックとかジャズとか)は、不思議でたまらないが、「下手の横好き」は別に珍しくはないだろう。
絵は、ほんとにダメである。
どんな名画を見ても「はあー」しか、感想がない。
かつて、国立美術館フェルメールが来たとき、わざわざ見に行ったが、世界でも最高峰の名画を見ても「なるほどなあ」しか感想が出なかった(苦笑)。
こういうのを「縁なき衆生」というのであろう。
絵の良し悪しが判別できる人は、いったいいかなる頭脳の働きがあるのか、不思議でたまらない。
そのうち、AIが絵の価値を判定できるようになるのだろうか?
興味しんしんでありますねえ。