Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

使用率106%

本日は猛烈な寒の戻りで、東京電力の使用率は13時時点で106%となって、東電は節電を呼びかけている。

この前の地震の影響で、発電設備が稼働していないものがあるので、需給が厳しくなっているというわけである。

ここで疑問に思うのが「106%」という数字だろう。電気は100%を突破したらだめじゃないの?という話である。

実は、この「100%」の基準がどこにあるかだが、東電管内の消費電力と発電力の比で表している。つまり、東電の発電では、すでに賄えない電力需要が発生しているのである。

で、足りない部分はどうしているかというと、他の電力会社から融通してもらうのである。

電力をどこからどこへ送るか?というのを「系統連系」と呼ぶのだが、その系統を東電外に求めることになる。

この「自社電力会社内で系統連系を完結させる」のが私は不思議で、というのは、電力会社というのは人間があとから作ったものなので、たとえば九州電力とか四国電力北海道電力が独立しているのは「ああ、海があるから送電ができないんだな」とわかる。(実際には送電できる。北海道と本州の間は日本ご自慢の大電力の直流送電設備がある)

しかし、本州なんて、それこそ人間の線引に過ぎないのだから、どこでも適当にやりやすいところから引っ張ればいいじゃん、と思うわけだ。

これは、例の311のあと、東電が電力不足を懸念された時期に、中電も北電も余裕だったので思った素朴な疑問だった。

その疑問を、後年、小水力発電のボランティアをやったときに、元電源開発のOBにぶつけたら「それは文化なんですよ」とのこと。

なるべく系統を自社内で完結させろというのは、実は電力会社の「文化」であって、外国においてはそのような傾向は見られない、とのことである。とにかく安いところから引けばいい。そう考えているのだそうで、言われてみれば、電力も「会社」であるから、なるべく安い「仕入れ先」を当てるのが当然である。ただし、日本の電力会社は、そもそもコストダウンする必要がないので(費用に自動的に利益を乗せて電力価格が決まるというすごい商売なので)このようなわけのわからん文化ができたもののようだ。

 

こんな文化で育つと、外国の事情がよく理解できないらしく「ドイツはフランスの電力を買っている、ドイツだって脱原発してない」などという話がもっともらしく出る。

この話の出どころが電力会社だろうなあとわかる話である。

なぜかというと、ドイツは電力を輸入しているかわりに、ほぼ同じ量を輸出もしているからである。

これは、先の系統連系の費用と関係があって、ドイツ・フランス国境あたりのアルプスがあるあたりは、ドイツ側から系統すると、コストが高くてたまらない。フランスから引いたほうが安いので、フランスから引くのである。

反対に、ベルギーとの国境あたりは、ベルギー側から引くよりも、ドイツ側から引いたほうが安い。なので、そっちには輸出する。

ちなみに、系統連系費用というのは、ほぼ電柱の価格と思えばよく、山の中に電柱を建てるのは高く、さらに道路がないとバカ高くなる。平地で道路があると安い、そういう工事の価格が系統連系費用に跳ね返る。

つまり、国境なんか関係なく「安い方から系統連系すればいい」と考えると、そういうやり方になる。

ところが、日本の電力関係者の発想からすると、自社内で系統は完結するのが前提なので、ましてや他国から系統するのは「足りなくてやむなく」やっているように思ってしまうのだ。

この説の出どころがすぐわかる話なのである(苦笑)

これは、単に文化の違いで、安い所から引っ張っただけの話なのだ。

 

閑話休題

本当に停電になると、心配なのがデータセンターなのだ。いかなサーバーも、電気がなくては動かない。

短時間なら自家発電で切り抜けるとは思うが、燃料費の高騰している今日、そんな潤沢な予備燃料を持っているはずもないと思う。

サーバー管理者としては、夕刻の需要の厳しい時間帯を乗り切ってくれるように願うばかりなんですなあ。