東商の2月度調査では、都内中小企業の6割が賃上げ予定だと回答したという。
コストプッシュインフレへの対応であろうが、ようやくこれで脱デフレ、、、とはならない。
実は、消費者物価を上回る賃上げ予定をする事業所となると、いきなり3割を切るからである。つまり、賃上げ予定の6割のうち、物価上昇分を上回るのが半分、残りの半分はそれ以下で、まあ、ないよりマシという程度なのである。
そもそも賃上げ予定がない事業所が4割だから、合計7割の事業所が物価上昇に対応できずに「(実質)賃下げ」となる。これで消費が上向いたり、景気が良くなることはないわけだ。
景気が良くならないかぎり求人も増えないから、休職中の労働者は安い賃金でもないよりマシなので、そういう職場に就職する。経営者からすれば、高いカネを払わなくても人は来るんだから、そのままでいい。これが貧困化のスパイラルである。
植田新総裁が、当面は金融緩和を続ける意向というのも、こんな足元の状況を知っているからである。
しかし、いつまでも金融緩和を続けるわけにはいかない。財の生産をしないで紙幣ばかりを刷り続けると、当然に貨幣価値が下落する。すると、円安になる。輸入物価の値上げが国内物価を直撃するから、物価は高騰する。しかし、消費は増えないから、単に経済規模が縮小していくだけになってしまうと思われる。
これが、出口戦略の難しさである。
仮に、円の価値を防衛するために利上げをすると、今度は有価証券が値下がりする。すると、国内最大株主である日銀も、さらに第2の株主であるGPIF(年金機構)も直撃する。含み損が発生するから、これは大問題になるだろう。
日銀の植田新総裁は意外の人事だと言われているが、そりゃあ本命が辞退してしまうと、そうなる。なんで本命が辞退したかと言えば、とんでもなく厳しい場面だからである。
宴のあとしまつ。
夢から覚めてみれば、残っているのは散らばったゴミクズだけである。
掛け声だけで中身がないんだから、いつまでも宴会ができるわけがない。
ま、私みたいな底辺事業者は、一喜一憂しないで、目の前の業務を粛々とこな
すしかありません。。。