この土日はあいにくの天候で、自転車三昧というわけにはいかない。
そこで、毎年恒例のプランターにミニトマトとバジルを植えた。「イタリアンセット」である(笑)。
5年前から始めたので、2018年が最初だと思うのだが、この年は日当たりのよい三階のベランダにプランターを置いて全滅。
で、2019年も、ふたたび全滅。ここで、どうやら直射日光が照りつける三階のベランダは不適であると気がついた。容赦ない太陽が照りつけるので、みな植物が焼けてしまうのだ。トマトは日向を好むとばかり考えていて「ものには限度」を知らなかったのである。露地ならそれで良いのだが、熱の逃げ場がないプランターでは、水をやると湯になってしまい、根を茹でてしまうという事情もある。
で、場所を一階の駐車場脇に変更したのが2020年。この年、初めて結実した。しかし、わずか5,6個だった。土の重要性に気がついた。
2021年は、たっぷりと有機肥料をやって改善、かなりの成果。この年から、バジルも並行して栽培する。昨年も同様で、まずまずの結実だった。
こうしてみると、作物は何しろ「年に1回の試行錯誤」だから、一度失敗すると翌年までトライできず、かなり改良に時間がかかるということがわかる。
これがプログラムなら、バグを出したらすぐに修正して、その場でテストすればいいわけだ。ところが、自然相手ではそうはいかない。来年を待たないといけないのだ。
そう考えると、「経験10年のベテラン農家」が、実は「試行錯誤10回」ということになると、さほど経験値が高いわけでもないことがわかる。
日本の農家は高齢化が問題だが、それでも今のところ、それなりの生産性を得ているのは、30回を超える試行錯誤の回数を経ている人がほとんどで、経験値がある程度高いことが大きいように思う。
ただし、この人たちのあとは厳しいだろうと思う。先に述べた通り、すぐには経験値が上がらないからである。プログラミングにせよスポーツにせよ、下手なら「猛練習」で急速に経験値を上げるのが手っ取り早いのだが、相手は自然だからそうはいかない。
そう考えると、実は「努力で経験値をすぐに上げる」ことができるものは、実は世の中では少数ではないかと思うのである。ほとんどの事柄が、「そうはいかない」ことのほうが多いような気がする。
経験値が急速に上がるのは、それ自体が特殊な環境なのだ、ということをアタマにいれておかないと、人間は勘違いを起こすのではないかと思う。
ある仕事で(勉強でもスポーツでもいい)経験値が高くてすごい、というのは、実はそういう環境を手にしているという面のほうが大きいんじゃないか。それを「オレの能力だあ!」と思い込むのが若さ、ということなんではないか、なあ。