Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

決算!忠臣蔵

「決算!忠臣蔵中村義洋

 

同名の映画の監督による小説化作品である。小説を映画化する例は多々あるが、その逆パターン。ちと調べてみると、映画は大コケしたらしい。この監督の決算が気になるところではある。

 

舞台は皆さんよくご存知の忠臣蔵。赤穂で「殿様、殿中にて刃傷」の一報を受け取るところから始まる。国元では江戸ではないので、よく事情もわからないうちに、殿様は切腹、家はお取り潰しである。

城を明け渡さなければならないわけで、こういう場合に役立たずの大石を横目に(大石は城代家老であるものの、まるっきり数字には疎い人物)勘定方の大野は藩札を銀と交換、家臣たちには退職金を支払って精算していく。その一方、いわゆる隠し金を作ろうとするのだが、大石は自分の退職金は辞退するから、すべて家臣の退職金に充てろという。大野は絶望して出奔してしまう。なぜって、これからお家再興に動くにせよ、あるいは討ち入るにせよ、カネは必要になるわけだ。そんなこともわからず「全部払ってやれ」と言い、自分の退職金を返上したくらいで良い気になってしまい、あとで困って「なんとかならんかのう」と言ってくる家老に愛想をつかしたのである。

大野が出奔してしまったので、その部下の長助があとをついで勘定の役をつとめる。

お家再興派、あるいは討ち入り武闘派、いずれも言うことだけは立派だが、とにかくカネがないのだ。幸い、主君の妻だった遥泉院が、国元の塩問屋に貸し付けていたカネがあり、これを回収して(足元を見られて2割に買い叩かれたが)なんとか多少の資金を捻出した。

これを元手に、大石たちはお家再興に動くが、弟の浅野大学が本家預かりの身となって万事休す。残りの資金を考えると、一人36万円かかる江戸に全員を連れて行けず、討ち入りメンバーをリストラして、ようやく四十八士が揃うことになる。

しかし、江戸は物価が高い。殿様の命日まで資金が持たないので、予定を3ヶ月早めて、月命日に討ち入ることにするのだった。事情を知らない藩士たちは「さすが大石様。命日を警戒する吉良の裏をかくのですな」などと勝手なことを言うのであった。。。

 

本書には「そば指数」なるものが登場する。現代でも「ビッグマック指数」つまりビッグマック1個がいくらで買えるかで、各国の通貨の平均購買力を比較する手法がある。

江戸時代はそば一杯が一六文と決まっている。これを、現代のかけそば一杯四八〇円と換算する。すると、一文が三〇円。一両(小判一枚)は12万円となる。この数字をもとに、小説内のすべての価格が現代の価格に換算されていく。そして、全登場人物の各高も同様に()書きで年収が示される、という趣向である。

おかげで、実にわかりやすい。この手の読み物としては、抜群の面白さである。

評価は☆☆。

 

何をするにも、まずカネがいる。これがこの世の真実なのであって、子供と大人の違いは金勘定をちゃんとできるかどうか、である。

カネの裏付けのない哲学も信条も、実際にカネがなければ空理空論、犬の吠え声となんら変わらないわけだ。そうすると、もっと子供の教育には、カネについて教える必要があるのではないかと思う。

たとえば、ローンの「元利均等払い」の仕組みである。将来、家とかクルマとか、ローンで買うことになる子供は多いであろうから「最初は金利だけで一向に元金が減らない」元利均等払いの仕組みを教えるのは、最低限必要なのではないかと思う。

そうすれば、カードのリボ払いがいかに危険なことかを理解する一助にもなるだろうと思うのだ。

まあ、そんなの破産しちゃえばいいじゃん、って。。。ま、そういう考え方もあるんですけどね。それは、社会の時間に、ということで(笑)