毎日、残暑どころではなく、猛暑日が続いているのだが、それでも９月である。
いつも通勤路につかっている仙台堀川公園でも彼岸花の群落が咲いていた。
私の生まれた地方では、この花を「曼珠沙華」と呼んでいた。仏花のようなイメージであるが、実際に墓場の近くによく咲いていたものだ。球根が有毒なので、墓を荒らす野生生物を避ける意味があったという説もあるようだ。火葬にしてしまえば、そんなこともないだろうと思うのだが、はるか昔の土葬時代の名残であろうか。
ちょうど秋の彼岸のシーズンに咲くから彼岸花。
曼珠沙華にしても彼岸花にしても、仏教のあの世のイメージがついているのは面白い。仏教の花といえば蓮とか菩提樹とかを思い浮かべるのだが、彼岸花は日本の葬式仏教特有のイメージである。花だけが最初に伸びて咲き、あとから葉が出てきて、他の木々の葉が落ちた中で日光を独占しようという戦略。外敵からは毒で身を守る。なんだか、激しい競争を拒否して、独自の世界で花を咲かせる、したたかな中小企業のような戦略だと思うのである。
そんな彼岸花。もちろん、嫌いなわけがないのだなあ。
