Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

現実認識力と想像力の問題

この週末は、某調査の仕事で、ずっとPCをにらみっぱなし。サイクリングどころではなかったのですが、膝を休める意味では良かったかもしれない。

 

ところで、岸田政権の支持率は最低の26%だとか、、、まあ、そうだろうと思う。

私の手元のデータについては、あまり詳しくはいえないのだが、自民党自体の支持率も下がっており、3割のキープが困難な状況だ。しかし、それでも支持率はダントツで1位。つまり、いかにその他の政党が支持されていないか、ということなのである。

 

で、こんなニュースがネットに出ると

「嘘だ、自分の周囲で自民党支持なんて3割どころか2割もない、マスゴミの捏造だ」とか、あげくに「選挙の開票結果そのものがム◯シで操作されているのだ」とか言い出す、頭のちょっと大丈夫ですか、の人がたくさん湧く。

まあ、「あるある」なので、微笑ましく眺めている。昔は、こんな人々に「そうではないんですよ、現実はこうですよ」と優しく解説していたのだが(苦笑)最近ではもうやめた。何を言ってもどうせ納得しないのがわかったので、無駄だと悟ったのである。

 

私が思うに、現実認識力は想像力の産物だと思う。人は、現実を基本的には「自分の周囲を観察して」把握するだろう。ところが、これだけだと、人類は月に行ってないとか、地球は平面だとか、だいたいろくでもない結論に落ちる。

自分の周囲を観察することは大事だが、見えない部分を想像することも、もっと大切だからである。

人類が月に行ってなかったら、当時、敵対して鵜ノ目鷹の目で米国の宇宙開発をウォッチしていたソ連が、なんでそれに気が付かないのか、とか。アポロの通信を世界中のアマチュア無線家もたくさん傍受していて、それがちゃんと月の裏側に宇宙船が行ったタイミングで途切れるとか。

地球が平面だと言った船乗りも、宇宙飛行士マエザワさんもどうしていないのか?とか(苦笑)。マエザワさんを金で買収することはできないだろうしね。

そういうことに気がつくと思うのである、普通は(苦笑)

しかし、彼らは気が付かない。で、そういう人が同類でSNSでつながるのである。そうすると「自民党の支持はそんなにあるはずがない、みんな捏造だ」と「みんなも言っている」となる、のである。SNSとは、そもそも同類を集めるものだ、という前提は飛んでいる。自分の周囲を観察することしか、しないからだ。システムの機能を俯瞰するのは、想像力なのである。SEの上流工程は想像力なしでは成立しない。

 

そもそも、ネットで自分の主張を出す人間は、自分が少数派だということに気がついていないことが多い。インターネットの世界は、どんなに少数派でも、そういう人を集めれば立派にビジネスになるという発見をした(ロングテール)。

しかし、政治のような場合は、ロングテールはせいぜい1、2議席の泡沫政党にしかなり得ない。大勢を決するのは、サイレントマジョリティなのだ。政治的なSNSも、掲示板に書き込みもしない人が、世の中の9割以上をしめる。その人達のことを調べないと、本当の数字は出てこない。「一言いいたいやつ」は、少数派である。そういう「一言」をいくら集めても、それはマジョリティじゃない。

そして、その「一言いいたいやつ」は、自分自身が少数だとは気が付かない。気がつく場合は「自分は真実に気がついた少数派」だという、おかしな気が付きかたをする(苦笑)。陰謀論の誕生である。

はっきり言えば、「自分以外の人間に対する圧倒的な想像力不足」なのだ。

 

どうしてこうなるのか、ということは、色々と考えてきたのだが、どうも人間の資質として「自分に都合が良い話の展開」を考えるのも必要な能力なのだ、ということに気がついた。ある種の楽天的な要素がないと、人類は生き延びてはこられなかったからだ。

なので、現実認識力がおかしかったり、他人に対する想像力がちょいと不足したりする人も存在するのが当然だし、それが悪というわけでもない。

なので、今はただ、静かに眺めることにした次第である。

わかり合えないことだってあるのは、世の中、すべてに共通なのだから。