内閣府の発表で、ドルベースの日本のGDPが591兆円となり、ドイツに抜かれて4位に転落。今まで、中共に抜かれてから世界3位に踏みとどまっていたのであるが、そこも転落した。
言うまでもないですが、日本は少子高齢化がこれからさらに進むことを考えると、ここから盛り返す目はなさそうで、ゆくゆくはG7で最下位とか果てはG7から転落などと言われる始末である。
一方で、あれだけ「グリーン革命」で脱原発、風力発電と電気自動車を作りまくり、予想通り寒波であちこち立往生をしているドイツがそれでも3位に浮上。ま、作っている製品の付加価値の違い、労働者の賃金の違いを考えると順当なところであろうか。
ただ、このGDPなる指標、私は今やそれほど国の経済力の指標として有効なのか?という疑念もあるのだ。
なぜか、というに。
「国内総生産」というのは、つまりは「外国での生産」は勘定に入らないからである。
日本は、今や世界に冠たる黒字債権国なわけであるが、これはかつての貿易摩擦などの教訓もあって、現地生産を進めてきた経緯があるからだ。したがって、黒字債権の中身を見ると、圧倒的に海外子会社の資産、利益配当が多いのである。現地に投資して工場を建て、その工場が製品を生産して現地で販売し、そのアガリを日本に送金している。
このような海外債権は、GDPにはまったく反映しないわけだ。
しかし、現実には、すでに例えばトヨタの生産台数の過半は海外生産である。
今の少子高齢化の流れをみると、もはや反転は難しい。ということは、国内に設備投資をしても、そこで働く良質な労働力が低コストで調達できる理由がない。企業経営者としてみれば、なんでそんなところに投資する必要があるのか?ということになる。
若者がいない。それなら、海外の若者を使えばいいじゃないか。そういう発想になっても不思議はないのである。
これらの海外投資の原資は内部留保なので、アホなデマゴーグが「巨額の内部留保を吐き出せ」というのであるが、そんなカネを寝かせているわけがないじゃん(苦笑)次の商売地点に持ち込んでいるに決まっているのだ。
この作戦の唯一の欠点は、資産には暴落があること、である。
負債は暴落しないが(ハイパーインフレとかになれば別ですが)資産は暴落する。中共でキンペーさんが一発やってやんよ、になったら、かの地の現地工場はにっちもさっちもいかなくなる。ロシアでは、すでに経験済みである。
GDPが低下しても、そんなの国という区切りの中だけの話なので、経済とは別物である。儲かるところで儲ければいいじゃないか。それがグローバリズムである。
グローバリズムのせいで日本は貧しくなったというが、一面で、逆にグローバリズムのおかげで何とか持ちこたえているともいえるし、今後はますますそうなると思う。
つまりは、資産が暴落しないように世界の平和を祈念しつつ、商売にいそしむのが正道であって、今さらGDPなんて古臭い指標に一喜一憂する価値もないでしょ、、、という話になると思うのだけどねえ。