今朝は、あまり気分の良くないニュースがあった。
私は古いSF小説のファンであるが、SF小説に贈られる賞といえば、世界的に「ヒューゴー賞/ネビュラ賞」と決まっている。SF小説界で最大の栄誉である。近年の受賞作では「三体」(劉慈欣)が有名である。
そのヒューゴー賞の選考過程において、「中国に批判的な」描写を持つ作品が意図的に落選させられていたらしい。選考委員に送られたメールが漏洩して発覚したようだ。
ヒューゴー賞の発表会は、それ自体がSF界における一大イベントなのだが、その発表会場が今年は中国だというので「配慮」をしたものらしい。まあ、わかりやすく言えば「忖度」である。
私は、SF小説というのは、もっともそういうことに対して批判的なことを言えるものであると思っていたのだ。何しろ、SF小説というのは、ハナから「でまかせ」であるからだ。そもそも、小説というのは基本的に「オハナシ」であって、平たくいえば「つくりごと=嘘」なのだが、それにSFというのがつけば、屋上屋を重ねて嘘なのである。科学的なふりをした嘘のオハナシ。これは嘘ですよ、と自爆しているので、何を書いてもいい。最近流行の「異世界」ものだって、先祖はSFである。SFとラノベをテキトーにブレンドして、KADOAKAWAか集英社がふりかけをかければ、異世界が出来上がるのだ!(苦笑)
しかし、そんなSF小説の世界にも、ついに「忖度」が登場したというわけだ。早い話が、お金が動くことを前提で、皆がイイコになるという「オトナ」の世界になったのだ。青少年がくだらない夢を語っていい場所ではなくなったのだろう。
私も老年になったので、そういう世の中の仕組みがわからんではない。ないのだけど、やっぱりこんなものを見たくはなかった。