Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

僕は愛を証明しようと思う

「僕は愛を証明しようと思う」藤沢数希。

金融ブロガーとして高名な著者が編み出した「恋愛工学」を小説仕立てで説明した本である。
「恋愛工学」については、もてない男として少し興味を持ったので読んでみた。
仮想恋愛攻略記のようなものである。もちろん、仮想戦史ものと似たようなものと思っても、、、どうだろうかね(苦笑)

主人公はモテナイ男で、職業は弁理士である。内気でコミュ障で、当然に恋愛下手なのだ。もちろん彼女もいない。
そんな主人公が、取引先のファンドマネジャーに弟子入りし、恋愛工学を授けられて恋愛のプロになっていく物語である。

その師匠は、まず主人公に対して「君は典型的な非モテコミット、フレンドシップ戦略だ」と指摘する。それでは絶対にモテるようにならない、というのだ。
非モテコミットとは、女性に日頃慣れていない男が、ちょっと好意を示してくれた女性に対してのめり込むこと。他の女性が目に入らなくなる。
フレンドシップ戦略とは、最初は性欲を隠して親切に振る舞い、仲良くなって、しかるのちに好意をもってもらい深い仲になろうとする戦略である。
恋愛工学では、これは一番駄目な戦略なのである。

恋愛工学の教えでは、女性は最初に男性を「友達フォルダ」か「男フォルダ」のどちらかに仕分けてしまう。
いったん「友達フォルダ」行きになってしまったら、そこから抜け出して「男フォルダ」に入ることは困難である。

さらに、女性には遺伝子上でモテスパイラル現象を起こす理由がある。
利己的遺伝子によって考えると、女性が自分の遺伝子を子孫に伝えられない可能性は2つある。
1.子育てに協力してくれないオスをパートナーにしたとき
2.子供が性的魅力がなく、パートナーを獲得できないとき
ゆえに、女性は
1.良いお父さんになり、将来の自分と子供を保護してくれそうな男
2.性的魅力にたけており、次々と女を確保していく男
に惹かれることになる。
この2つの性質は相反する。それゆえ、女性の好みはこの2つの間を揺れ動くことになる。
恋愛工学で考えると、良いお父さんになってしまっては多数の女性と性交するころができない。
恋愛工学のゴールは女性との性交であり、その数と質を追うことが目的なのである。
そこで、性的魅力のあるオスのほうを目指すことになる。

女性にとってもっとも得な戦略は
2の性的魅力のあるオスの遺伝子を確保して、1の良いお父さんに育ててもらうことになる。
しかし、これはバレたら大変になる。
そのため、女性は本能的に「気まぐれ」で「意味不明な」行動をとる。普段から、男性に理解しにくい行動をとっておけば、浮気を疑われる可能性を減らすことができる。
逆にいえば、オスにとっては、彼氏もちの女性であっても、適当な理由と手法、タイミングさえあえば、性交することが可能ということである。
目的を達成するための手段としては心理学を使ったラポール形成などのテクニックを用いる。
これらの手法については、本書のなかに詳しくポイントが解説されている。


ずいぶん面白い小説である。
評価は☆☆。
飽きずに読んだ。

「小説」としたのは、こんなんでほんとにモテる(つまりは、多数の女性と性交することである)ようになるのか、私には判然としないからである。
なにしろ、こちとらモテない男50年である。いまさら、実践するわけがないではないか。
つまり、本書が真に有効な「マニュアル」と呼べるべきものなのか、それとも少数の得意な成功例を無理に一般化しただけのおとぎ話なのか、その区別がつかないからだ。
本書にある「モテ=ヒットレシオ×試行回数」というのは、営業マニュアルの「成果=成約確率×営業量」と同じである。(「御社の営業がダメな理由」藤本篤志著)
そういう意味では、これは恋愛に場を変えた営業マニュアルそのものであり、その小説化なのである。
そう考えると、マニュアルとしては古典的で、むしろ「小説化」の巧みさが素晴らしい作品であると言えるように思う。

実践してみたいかたは、どうぞやってみて欲しい。
成果なぞを、そっとレポート(もちろん、できるだけナマナマしく)してもらえたら、とっても嬉しいですなあ。