Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

透明人間の告白

「透明人間の告白」H・F・セイント。

もし、ある日突然、自分が透明人間になったらどうだろう?
この小説は、そういう状態を、可能な限りリアルに描こうとしたものである。

たとえば、食事はどうなるか?
体が透明でも、食物は透明ではない。よって、ブイヨンやゼラチンなどの透明に近い食べ物ばかりを食べなければならない!
また、服はどうする?運良く、透明人間になったときに着ていた服も透明になってくれたとする。しかし、冬がきたらどうするのだ?
また、交通機関はどうであろう?そう。満員電車には乗れないではないか!
いや、通りを歩いて居てすら、誰も避けてはくれないので、始終油断なく歩かねばならない。
経済活動はどうするか?働くのは大変そうである。それどころか、ちょっとコンビニに行くことすらできない。

などということを、えんえんとリアルに書きつづった小説である。
ただ、それだけ(笑)
しかし、面白い。

小説というのは、日記ではないのである。平たく申せば「つくりごと」「ウソ」である。
どれだけ、リアリティがあって面白いウソをつくかが小説の出発点だとすれば、その意味で本書は素晴らしい小説であると言える。

ただ、残念なのは、この小説がどんなに面白くても、どうやらこの著者にはこれ1冊きりしか著作がないらしいことである(笑)

評価は☆☆かなぁ。
面白いうえに面白い。
ホラとか「見てきたようなウソ」が大好きでたまらない私のような人間にぴったり(^^)

まあ、たまには、こんなのもよろしいんじゃないでしょうか。