Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

カネボウ粉飾決算事件に思う

カネボウ粉飾決算に関与した公認会計士2名が起訴されることとなった。
かれらは、どうやら明確に粉飾であると自覚していたらしい。
投資家に虚偽の報告をし、事実上の債務超過(倒産)状態にある会社の株を高値にし続けたことは罪である。

しかしながら、このような事件がおきる環境についても、やはり考察しておくべきだろう。
実は、日本の会計士を雇っているのは、当該会社なのである。
はっきりいえば、役員会である。

上場企業役員として、ちょっとまずい発言なのであるが(ひょっとすると抹消するかもしれません。そのときはかんべん)
つまり、監査法人なかんづく会計士は、カネをもらっている顧客企業の決算が不正でないか否かを調べることになる。このとき、ひょっとして「よけいなことを言えば、顧客を失うかもしれない」という危惧が、絶対ないと言えるであろうか?
いや、もちろん、決してあってはならぬのだが、この制度に果たして無理がないだろうか。

米国では、会計士は株主が雇うのである。不正があれば、株主に報告される。これでも、エンロンの例に見られるように、ある日とつぜん企業が破綻し、会計士は責任を追及される事態が発生する。だから、完璧ではないが、それでも日本より透明性が高いと言われるだろう。

さらに、実は米国では、すべての企業でもっとも株式を保有しているのは年金基金である(401Kの導入による)。かれらは、気に入らない企業の経営に対して、単に株式を売却するだけではない。売却する前に、もっと企業価値が高まる方法がないか、経営陣に申し入れることをする。今話題の村上ファンドのような形で「物言う株主」となっているのだ。それでも改善の見込みがなければ、株を売る。
したがって、多くの米国労働者は、既に経営に対して間接的に大きな発言をもつに至った(P・Fドラッカー「新しい現実」)「過去の価値観はすでに古い。我々は、今まで史上誰も経験しなかった新しい現実に直面しているのだ」

さて。
このような新しい現実は、米国では92年から始まったとされているようだ。日本は、これからどうなるのか、ちょっと心配になってしまうのである。