Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

核と禅問答

まだ未確定なんですが。
たぶん、ですが「いまいちな爆発」だったのではないか、と。核実験というのは、実験することに政治的意味があるわけなんだけど、科学的には「実験しなきゃ確立できん」レベルの技術なんですなぁ。

SF作家、豊田在恒氏の本から拝借した話をひとつ。
インドは、核物理学でノーベル賞学者を何人か出している国であるが、そのインドが初めて核実験をやったとき「これは、核爆発ではない、核爆破だ」と主張した。インドを非難しようとした国々はあっけにとられた。「核爆発」と「核爆破」の違いは何なのか?さすが、禅問答発祥の国だと言っている場合ではないではないか(笑)
で、確認したら、各国「ウーム。。。」インドが実験した原爆は「プルトニウム型」(ナガサキ型)だったが、こいつの大きさが30トンあった。30トン、、、なんじゃ、そりゃ、であった。つまり、爆発装置が巨大すぎて、小山みたいな装置(というか、建物のよう)だったのだ。プルトニウムという奴は、爆発させるのが大仕事なので、こんな巨大装置になってしまった。ちなみに、米国がナガサキに落とした奴が4トン。B29がテニヤンからやっとこさヨタヨタ飛んでいった。このヨタヨタを撃墜できなかった我が国の迎撃機には泣けるわけだが。
30トンある爆弾では、まさか戦場で「建築現場」みたいなものを作れんわけで、運河工事ぐらいにしか使い途がない、だから「発破だ」と言うわけで「核爆破」。なるほどなぁと、皆ため息だったのだ。

北朝鮮の原子炉は実験炉が1つ、5000キロワットの小型炉が一つ。どちらもガス冷却炉といわれるタイプで、プルトニウムの生産に適するというだけがメリットである(笑)5000キロワットって、そんなもん、水力だってそれよりは(ブツブツ。。。)
だから、爆弾もプルトニウム型だろう、となっている。

ちなみに、日本の原子炉は軽水炉で、安全性と発電効率が良いのだが、プルトニウム生産は少ないのだ。で、濃縮ウランと混ぜる「再処理」をしないと燃えません。逆にいえば、軽水炉向けの燃料をつくる技術の延長線上に「ウラン型」原爆があるのだけど、これを作れる国は米国、フランス、ロシアくらい。

日本は、再処理技術をもっているので「ニュークリアレディ国」つまり「90日以内で核武装可能な国」に分類されているけど、再処理はプルトニウム型だから、やっぱり実験しないことには信用性ゼロ。政治的にはわかりませんが、科学的には、原子炉があるから核武装可能とはいかんのだ。

ちなみに。
北が核爆弾技術の提供を受けたとされるパキスタンは、なんと「ウラン型」なんである。プルトニウム型の開発は難しくて、ソ連崩壊の横流しウランを使ったと見られる。つまり、今何発あるかは別にして、継続生産能力は疑問。じゃあ、なんで北は「主体思想」的な自力開発をやめてパキスタン(カーン博士とか)から技術供与を受けたか?というと、同じ理由が考えられるんですね~。
早い話、起爆装置がまだ未完成じゃないか、と。今回の爆発がイマイチだったのは、やっぱりスカだった疑いがあるわけなんだな。どぉ~~ん!のはずが「どっ」くらいでこけた、という。

というわけで。
核実験の「成功、失敗」は微妙、さらにそれを兵器として運用できるか否かは、さらに微妙なものだという考えをアタマにいれておけば、あんまり慌てる必要もないと思う。北のミサイルのペイロードを考えると、とてもムリではないか?ま、これからの努力次第だろうけど。

で、このタイミング。どうみても、墓穴を掘ったんじゃないかな?と心配してしまうのであった。5カ国で袋だたき。阿部首相は、おかげで余計なツッコミを食らわなくて済んだし、盧武鉉大統領も堂々と「路線変更」できるし。ロシアは鼻先でどかんとやられて面白くない。ホントはみんな「えへへへ」なぁんてね。あり得ると思うのだけどな。どうでしょうかね?