Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

ハマースミスのうじ虫

「ハマースミスのうじ虫」ウィリアム・モール。

伝説の名作、新訳だそうである。
私は、こういう惹句に弱い。さっそく購入。

主人公は、クラブに出入りしロールスロイスを愛車にするワイン商。かれの趣味は人間観察、はやい話が犯罪者の追跡(探偵ごっこ)である。
ある日、クラブで知人の個人銀行役員が、飲んだくれているのを見かける。彼が荒れている理由を問いただすと、「本人がやったことではないが、しかし否定できないこと」で恐喝を受けて、カネを払ったという。その「否定できないこと」は、少年ヨットクラブを設立しようとする銀行役員が、実は同性愛だというものだった。
その犯人を、彼は追い始める。それは、ハマースミスという住宅街に住む平凡な一人の男だった。

これはおもしろいなあ。さすがに名作である。
「うじ虫」というのは、恐喝者の別称らしい。

作者のウィリアム・モールは、英国諜報機関のMI6に勤務した後、リタイヤして本小説を書いた。だから、犯人を追いつめる際の尾行の手際、自白させるときの誘導など、実に人間観察に富んだリアルなもので、読みながら「なるほど!」と感心させられるのである。

評価は☆☆。
今日では、ちょっと古びたスパイ小説、という感じは否めない。しかし、シャーロック・ホームズが、時代背景によって色あせたりはしないように、本作品も不変な魅力があるように思う。
難しいことは言わないで「おもしろい小説が読みたい!」という欲求に素直に応えてくれる作品。
ある意味では単純なストーリィなんだけど、これでいいんだ、と思うのである。
私は大好きだなあ。