Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

割り箸はもったいない?-食卓からみた森林問題

「割り箸はもったいない?-食卓からみた森林問題」田中淳夫。

私は認識不足だったのだが、今の割り箸は間伐材で作るのは少数派なのだという。おまけに輸入材がほとんどである。主に中国だ。で「マイ箸派」が、「割り箸は中国の森林を破壊している」と批判するわけである。
本書は、そういう一面的な環境問題のとらえ方に一石を投じた本である。

たしかに、割り箸は輸入材で作られている。けれども、実際に国内で消費される木材の0.3%をしめるに過ぎない割り箸を、目の敵にしても、実際に環境問題の改善に役立たないことは明らかだろう。

また、代替手段である塗り箸やプラスチック箸が、本当に環境に優しいか?も考慮しなくてはいけない。塗り箸を洗うのに、お湯や洗剤を使っていないだろうか?それ、全部、石油なんである。
プラスチック箸を廃棄すれば、環境負荷のどれだけ大きいことだろうか?だけど、実際にプラスチック箸は長持ちしないのである。

割り箸は廃棄されれば、だいたい焼却処分になる。CO2が、温暖化が、、、と言ってはいけない。もともと、木は生長するときにCO2を吸収している。焼却してCO2が発生しても、かつて吸収したCO2を超えることはない。全体でみれば、まったくCO2は増えていないのである。
吸収した分は当然で、焼却した分は駄目というのでは、どんなドケチ社長もびっくりだろう。社員があげる売上は当然で、経費はびた一文イヤだといっているのと同じ議論なんである。

評価は☆☆。
環境問題の世界は、嘘というかプロパガンダというか、はたまた煽りというのか、なんか変な話が多い。物事は全体を見なくてはいけないなぁ。

ところで。
「割り箸」は明治に始まるもので、別に日本の伝統じゃない、という説があるが、本書によればそれもプロパガンダの部類であって、明治に割り箸の「規格」が発明されたのは事実であるが、それ以前から割り箸は使われていたし流通もしていたようである。(環境問題にやたら熱心な人々が、明治にはじまるものを認めたくない人々に重なっている可能性が高い。余計な話だけどね)
で、その割り箸について、「元禄」だの「らんちゅう」だのと解説がある。これがおもしろかった。
さっそく銀座のカウンター割烹で食事をしているときに
「この割り箸がらんちゅうだ。高級品だねえ」としゃべっていたら、目の前の板さんが「お、よくご存じで」とうれしがってくれたのは良かったが。。。それでとんでもない「通人」だと思われ、秘蔵の銘酒がどんどん出てきて、最後にどえらい勘定を支払う羽目になった。すっかり酔いも吹き飛んだ次第。

こういうのを、「生兵法はけがのもと」と言うのですなぁ。がっくし。