Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

自転車入門-晴れた日はスポーツバイクに乗って

「自転車入門-晴れた日はスポーツバイクに乗って」河村健吉

著者は、生粋の自転車乗りでなく、なんと還暦をすぎてから自転車を始めた。
我々が、自転車趣味を始めようと思った時に直面する課題を、丹念に順番に書いている。
ホームセンターで安い折りたたみ自転車を買って、全然楽しくないと思ったこと。
スポーツサイクルショップに行ったら、店員の話す言葉がまったく分からず、無礼な対応をされたこと。
乗ってみて、あまりに軽く走るので驚いたこと。
ぴたぴたのジャージが恥ずかしくて着られなかったり、ビンディングペダル立ちゴケしたこと、それでも安全のためにヘルメットをかぶろうと決めたこと。
道路は自動車のものと心得違いする輩が多いこと。
サイクリングコースを知りたくて、いろいろな本を買ったこと。。。

評価は☆☆。
すれっからしの自転車乗りからすれば、「アタリマエ」な話が多いと思うが、これから自転車に乗ってみようという人には実によい入門書ではないか、と思う。

本書を読んで気づいたのだが、年寄り(失礼!)による入門書は実に有用だと感じた。
なにしろ、還暦を回っていれば、体力的に無茶はできないし、人生経験も長いから余計な力が抜けている。妙に偏った見方もしない。世の中に対して、かなり中庸であると思う。
結果、誰もが「無理なく入門」するとき、実に好適な入門ガイドが出来る、というわけだ。納得である。

特に、本書で紹介してある自転車本の数々は、私もひそかに愛読しているものばかりである。巻末の書籍リストだけで、この本1冊の価値がある。
私が、自転車趣味を始めるとき、この本があればずいぶん役立っただろうに、と思う。

昔から「亀の甲より年の功」という。
年を取ったことで得るものといえば、人はとかく「知識」だとか「経験」だとか思いがちだ。
しかし、それは違うのではないか、と思う。そういう見方そのものが「生産至上主義」の近代に侵された、そのものじゃないかね。
若いときと違って、無理が出来ない、無茶ができない、だから自分に出来る範囲で楽しむ。
それは「失った」のではなくて、そういう尺度を「得た」のじゃないか?
そんなことを思った。

おすすめ。実に良書であります。うん。