Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

デフレと高齢化

格差があまりにも流行語になっているので、ちょっと考えたのだが、たぶん「デフレ」と少子高齢化の影響だろうと思う。

格差社会は本当か」みたいな話になってしまうのであるが、まずよく引かれるOECDの発表について指摘しておく。
2007年6月発表のOECD雇用アウトルックによれば、日本の所得収入上位10%と下位10%の格差は3.12倍である。10年前の1997年は3.00倍であるから、確かに格差は拡大している、とは言える。
だけど、、、大騒ぎするほど拡大してないじゃないか?と思ったとしても不思議はない数字だろうね。ちなみに、アメリカは4.85倍である。これは、さすがに問題になるわけで、今の米大統領選においても「中流層の没落」が争点になっている理由がわかる。
ちなみに、この3.12倍という数字自体は、OECD加盟国のなかでも格差が少ないほうである。

「いや、そんなことはない!OECD報告では、日本は世界2位の格差大国だ」という方もあるし、そういう数字は世の中に流布しているわけだが、そのわけは少子高齢化にある。
日本の場合の人口動態を考えてみると、
1.戦後「大人は戦争で減少、ベビーブームで子供が多い」→所得を得られる世帯が少ない
2.それから経済発展、団塊世代が労働力に成長→全世帯のなかで所得を得ている世帯が増加、そんでもって所得自体も増加(必然的に格差解消)
3.少子高齢化のはじまり、団塊世代のリタイヤ→年金のみの非労働世帯の割合が増える
という動きになっている。
つまり、少子高齢化が進むと、当然に所得を得ない世帯が増えるわけで、そこを単純統計でジニ係数を計算すると、格差がすごい勢いで拡大していることになる。今の労働世帯の所得格差自体がさほど拡大していないことは、先に指摘したOECDのデータ通り。
ちなみに、非労働世帯であっても、年金とか、あるいは公的支援(たとえば医療費とか介護とか)のサービスを受けているわけで、これらのサービスにかかる費用は現在の労働世帯が負担している。それが税金である。
え?!OECDジニ係数って、公的負担を調整した数字じゃないの?、、、はいそうです(爆)
で、総務省が06年12月にこれらの公的負担を調整したジニ係数を発表しているが、日本は0.278。
ちなみに、アメリカ0.368、フランス0.3278、イギリス0.345、ドイツは優秀で0.264。中共は正しい統計がわからないのであるが、だいたい0.46~0.49という話で、世界に冠たる格差大国。こりゃ共産主義が必要ではないか、と。あれ?あ、もうなっているのか。。。(笑)
ま、総務省の計算なんて信じない、という人もいるだろうが。

だけど、やっぱり国民の実感としては「格差拡大」で、だから格差社会が騒がれると思うのだ。
その理由は、先に述べたようにデフレであろう。

たとえば、もしも「今、1万円あげる」というのと「1週間後に1万円あげる」というのと、どっちがうれしいだろうか?
当然だが、そりゃ「今」に決まっている。1週間の間には、なにが起こるかわからない。極端にいえば「1週間後に1万円いらないから、今8千円ください」だって有り得る。ひどい高利だけど。
お金の価値は、基本的に「今」が高くて、あとは安くなるということである。
ところが。
デフレというのは、基本的に「物価が安くなる」と理解されているが、マクロで見れば「お金の価値が高くなる」ことを意味する。
先の高利貸しの逆である。あとになればお金の価値が上がる?!そんなことがあるのだろうか?だけど、そうなのだ。だって、物価が安くなるんだから。
すると、どういうことが起こるか?
「お金をもっているほうが有利」ということである。物よりもお金の価値が高くなることだから、お金持ちが有利、逆に借金する人は、どんどん借金が増えているのと変わらない。
これでは、内需が拡大するわけがない。

デフレは、お金持ちをもっとお金持ちにし、貧乏をもっと貧乏にする。

ここに、さらに少子高齢化が影響する。ますます国内需要が盛り上がらない。その一方、実は貧富の差は高齢者にこそ大きいものである。
当たり前だが、若いうちは貧富の差は少ない。だけど、年を取ればどうしても差がついてしまう。
高齢者層が増えること自体、実は労働世帯と違って「ストックの経済」の格差が拡大する。しかも、これは解消しないものである。
だって、今の日本の税制は、基本的に「稼いでる人間から取る」ので、「ためた人間からとる」のは相続税、固定資産税くらいしかなく、これは抜け道だらけだから。

だから、まずはデフレを解消しなくてはいけない。金融政策でいえば、低金利、、、となるのだが、まったく効き目がない。
これは、経済そのものがグローバル化して、海外にお金がまわるから、国内のデフレが解消しないためだろう。

じゃあ、革新的な方法として「いっそ、ストックに税をかける」のはどうか?
理論上は画期的な方法だが、お金自体は国境を越えるものだ。もしもそんなことになれば、お金は海外逃亡しちゃうでしょう。。。

で、一つの方法としては、海外逃亡しないもの、つまり「労働力」そのものを、もっとうまく回転させる方法ではどうか?ということが政策的には思いつく。

その話は、また機会をみてやりましょうか。

いい加減な話だから、本気にしてはいけませんよ。(笑)