Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

コトバの力が無力だと思うとき

「コトバの力を信じている」とどうなるのか?
実に面白いテーマですね。そこで、なんといっても「大学入試で出題されるナンバーワン」朝日新聞様の社説をじっくり拝見しようではありませんか。


そのうち消されちゃうかもしれないから、大変素晴らしい箇所を抜き書きしておきます。

「 チベットではこれまでも、僧侶のデモや治安当局との衝突が繰り返されてきた。その発端は、新中国の建国から間もない1951年に人民解放軍がラサに進駐したことにさかのぼる。」

これです。さすがにコトバの力を信じている新聞社は違います。
さて、大学入試です。この一文、どう直したらいいでしょうか?私が考える正解は以下の通り。

「 チベットではこれまでも、僧侶のデモや治安当局との衝突が繰り返されてきた。その発端は、新中国の建国から間もない1951年に人民解放軍がラサに侵略したことにさかのぼる。」
やっぱり、こうじゃなくちゃ。朝日新聞なんだからさ(笑)同じ行為が、中共だと「進駐」で旧日本軍は「侵略」、、、なんてことはないはずでしょうが、ね(苦笑)

中国当局者は「ダライ一派が組織的、計画的に策動したことを証明する十分な証拠がある」と述べたが、ダライ・ラマ側は否定している。」
これもいけませんねぇ。直してあげましょ。
中国当局者は「ダライ一派が組織的、計画的に策動したことを証明する十分な証拠がある」と述べたが、実際に何一つ提示はされず、ダライ・ラマ側は否定している。」
それとも。ああそうか!「私は、中国がそういったから、そう書いたまで」といった名物記者がいましたもんね。なるほど、これぞ「伝統の力」ですなぁ。
つーか、そこを取材するのがアンタの仕事じゃないの?(笑)
発表通りを書き流し、30歳で1000万円超の年収。それでいて、一方では「格差問題」を大所高所から批判する。結構なご商売で、本当にうらやましいことですな。


さて。
この問題に対して、国内の「人権派」も「平和主義勢力」も、何一つコメントしないという羊頭狗肉ぶりはどうか。
たとえば、彼らは、イラク戦争を非難する。イラクは、少なくとも大量破壊兵器を持っていなかった。アメリカは、石油ほしさに、イラク人民を軍事力で蹂躙しただけじゃないか。たしかに真実であるから、その批判は当たっている。
ならば、中国はどうか。
チベットについていえば、少なくとも、イラクと比べるべくもないほど、武力といえるほどのものはなかった。中国は、インドとの緩衝地帯として、また豊富な地下資源(ウラン、ダイヤ、鉛、クロム、モリブデン、金、銀などレアメタルの宝庫!)が欲しかった。だから、甘言をもってダライ・ラマを欺し、そして軍事力で蹂躙した。あまつさえ民族浄化までやった。
イラクは、米軍に侵攻されてもイラクのままであり、イラク人民もイスラムも残るだろうが、チベットは国がなくなり、チベット人民は根絶やしにされ、チベット仏教は滅びようとしている。

亡命したダライラマを、最初米国は支援したが(英国は拒否した)、ニクソン政権で米中国交回復がされると、放り出した。
だから、亡命政府はインドにあるのだが。そのインドは、中露が対立している間は露よりだったので、中国と敵対したが、80年代に入りソ連の崩壊の予兆が出たので、さっさとチベット自治区を認める方向に転換した。難民が流入してくると、インドだって迷惑だからだろう。
国際社会とはそんなものだという縮図である。

そして、その構図がまわりまわってどうなるか?
結局「イラク人民の敵アメリカ」と唱える人は多いのに(そして、その人たちの多くは、自分のことを平和主義者かもしくは賢明だと考えている)その中でチベット人民のために「チベット人民の敵中国」と唱える人は実に少数なのだ。(そして、その理由の多くはチベット問題は反中宣伝で、そんな宣伝には乗らないと考えている)

これじゃあ、ものの理屈を考えてるうちに入らないじゃないか、と思うのだがな。
なんで、この件でアメリカがダンマリを決め込んでいるのか?考えていくと、結局、構図としては同じだってことなんです。インドもアメリカも。
こんな矛盾を認めるのであれば、そもそも「世界には正義などない。正義とは力の別称である」と言ったほうが、よほど透徹した論理だろう。

矛盾には目をつぶり、言いやすい相手だけに言いつのる。私は、そういう態度には「正義」を感じない性分だ。

ともあれ。
何も考えていないのが日本の政治家。それだけは間違いないんですけどね(泣)