Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

自己責任

今朝のことである。
駅近辺の十字路で、私は赤信号になったので信号待ちをしていた。この十字路は、自動車の通行は少ないが歩行者と自転車の通行が多い。
平素から信号無視が多い交差点であって、私は経験的に「自家用車より怖い商用車、商用車よりこわい自転車」だと思っているので、かなり慎重に通行することにしている。
この十字路は、一方が坂道になっているので、余計に危険である。

そうしたら、その坂の上からおばさんの乗った自転車が下りてきた。おばさんの信号は青である。
そこに、背広姿の男の自転車が勢いよく飛び出し衝突。おばさんは転倒し、しばらく起き上がれなかった。
背広の男の信号無視による飛び出しである。
ちなみに、男の自転車は私の自転車とは反対側、つまり車道を「右側通行」していた。明らかな逆走である。
当たり前だが、お互いに左側を走っていれば、基本的に「出会い頭」を防ぐことができる。おばさんは左側の歩道、背広の男は右側の車道を走っていた。(私と男の走っていた車道には、細い道路なので歩道がない。よって、ついでに言えば、おばさんの走る道路側に直進優先権があるはずである)

男は、おばさんにしきりに話しかけている。おばさんは、なんとか立ち上がったものの、かなり痛そうで、そこにたたずんだままである。
気が動転しているのかもしれない。無理もない。

しばらく見ていたが、おばさんが立ちつくしたままなのを見て、私も心配になり、自転車を引いておばさんのところまで行く。
「大丈夫ですか?病院に行った方がよくはありませんか?」
外傷はないようだが、骨にヒビが入ることくらいはあり得る。痛そうだ。
背広の男は、「すいません、大丈夫ですか?」と問いかけていたが、おばさんが頷くのを見て「じゃあ」と言いかけた。
そこで、私は男に言いかけた。
「ちょっと。万が一もあるだろう。あなた、名前は?」
「いや、名刺を今もっていないんです」

皆さん、考えていただきたい。背広姿で、今から会社に向かおうとしている紳士が、名刺を持ち合わせぬと。
私は問うた。「では、身分を証明するものは?」
男は応えた。「いや、今、何ももっていなくて」

私は応えた。「そうですか。では、証拠に、あなたの写真を撮らせていただく」
携帯を取り出し、男を睨みつつ(逃げるなよ、の意思である)パシャリと一枚。
私は、おばさんに自分の名刺を渡した。
「僕が見ていましたから。何かありましたら、お電話ください。証人になります」
おばさんは礼をおっしゃって、ゆっくりと自転車で走っていかれた。


赤信号だろうと、別に事故じゃなければ通行すれば良いじゃないか、という考え方はあるかもしれない。
昨日は、自転車運転中の携帯電話の使用、ヘッドホン、傘差し運転が(自転車も車両であるので、道交法上は当然、今でも違法であるが)改めて警察の指導対象になることとなり、それに対して「ヘッドホンの何がいけない」みたいな議論もかなりあったようだ。
どう思おうと、そりゃあ本人の勝手、ということだって、あるかもしれない。

しかし、その結果、事故を引き起こして、知らぬ存ぜぬでは許さない。責任はとってもらう。

あのイラクで愚行をしたボランティアさん達のおかげで、日本では「自己責任」という言葉は「他人の苦労を思いやらない冷たい人間の言う言葉」だという定義になってしまったようだ。
で、立派な背広を来た紳士が(といっても、多少私よりは若かったみたいだが)いきなり名刺も運転免許証の持ち合わせもないと言う。
責任のない国で、みんなが平和に暮らせてよかったと思うばかりだ。

私自身は「他人の苦労を思いやらない冷たい人間」で結構である。自由に生きるとは、そういうことだと思っている。