Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

放っておけばバブルはつぶれる

ここのところ、穀物相場や原油価格が上昇しています。
それで、その原因として「金融資本による投機資金の流入」が挙げられています。
理論価格から考えると、今の価格はかなり高めであって、たしかにマネーゲームの結果、価格が高騰しているのは否定できないようです。

しかし、ここで「国家が規制しろ」という意見には、私は与しません。無駄だからです。
もしも、国際相場で規制が強まれば、逆に闇相場にそのぶん資金が流入するだけだろうと思うからです。

日本では、有名な闇軽油があります。A重油と灯油を混ぜて闇軽油を造ると「軽油取引税」がかからないわけです。リッターあたり32円も違うんですから、そりゃあ闇軽油が出回るわけですな。
で、みんなが「おれも、おれも」と言い出すと、闇軽油市場が出来ます(笑)。実際、闇軽油には、ちゃんと「相場」がありますもん。

仮に国際市場で穀物取引や原油取引の規制をして、それが市場参加者に不利であれば、違う市場が出来るだけのことなんですよ。その結果、市場を規制するための組織(役人)だけが維持されて、肝心の市場取引そのものは、総体でみればまったく改善されない結果になるだろうと思います。

いわずもがな、のことを付け加えますと。
もしも「投機資金」によって、需給曲線から導き出される理論価格よりも市場価格がかなり高騰しているのであれば、その高騰は「バブル」です。「バブル」は、必ず弾けます。投機資金が市場でふくらませた部分は、市場によって、最終的には修正されます。

サブプライム問題だってそうです。サブプライムで大儲けしていたファンドは、最期には大損したわけです。逆に、サブプライムに手を出していなかった金融機関は、相対的に被害は少なくなっています。確かに、アメリカの景気後退によって影響を受けていますが、よくよく考えてみれば、以前は「サブプライム」によってアメリカの景気は底上げされていたわけで、その部分を返済しているにすぎません。

原油相場だろうが、サブプライムだろうが、儲ける機会を求めて資本は参加していますが、ふくらみすぎた価格であれば、その損を資本がかぶります。資本は、そのとき「仕事」をします。つまり「損をする」のです。損をする人は、資本を出した人、すなわち資本家ですね。

そもそも、投機と投資を現実に切り分けるなんてことは、不可能に決まっています。たとえば、石油が値上がりするから、その前に「買いだめ」しようと考えたとします。これは「投機」でしょうか?それとも「投資」でしょうか?
実際に物価が上がれば、それだけ得をしますので、買いだめ行為自体は「投機」でもあり「投資」でもあります。思ったように物価が上がらなければ、かえって高い買い物をしてしまうこともあり、損を出します。いずれにしても、投資と投機を分けることはできません。
どっちにしても、機会と損失は背中合わせにつながっています。どっちにしても、市場参加者は、市場の決める価格によって、そのギャップを受け持ちます。
結果、価格は、動きながら調整されていくことになります。

現物にせよ、先物にせよ、自由な市場があることで、価格は形成されていきます。

「国際金融資本が、相場を不当につり上げている」のが本当であれば、放置しておくのが一番得策なのです。そうすれば、やがて勝手に損をして退場していきますから。

物価が上がると、低所得者の生活が苦しくなります。それは「貧困対策」として、別に考えるべきでしょうが、市場に介入しても無駄です。ムリな介入は、市場プレーヤーの餌食を提供するだけです。アジア通貨危機が良い例でしょう。

場の論理で行けば、低所得者が買えなくなる、つまり穀物やガソリンの売れ行きが鈍れば、その分価格が下落します。値段をつり上げた市場プレーヤーも、苦しくて仕方ないのです。そうすると、ますます価格を維持しようとして、商品の供給を抑えにかかります。
消費が減り、供給が減ると、市場そのものが縮小します。この場合、ついに資金は回転を失い、行き先を求めて、別の市場に退場せざるを得なくなります。
結果、市場はもとの平穏を取り戻すことになります。

何か不都合が起きると、すぐ短絡的に「規制しろ」と言い出す、そういう傾向が最近強くなっています。規制しても、物事は解決せず、新たな問題を生み出すことのほうが多いような気がするのですがねえ。

なんでも人間が支配できる、という思想が根本にあるのでしょう。私は、とんだ思い上がりだと思えてなりませんけれどね。