Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

茨の道

福田氏の辞任には、2つの大きなポイントがあると見ます。
1.テロ特措法延長のめどがたたない
2.公明党の離反

まず、テロ特措法の件ですが、この問題は安倍前首相の命とりにもなりました。私は、洞爺湖サミットで福田氏がブッシュ大統領と延長の密約をしたことまでは知りませんでしたが、もしも特措法延長ができなければ「日米同盟に与える傷は浅くない」と米国は述べています。
「傷は浅くない」という報道がされたことの意味は大きいです。

さて、仮に日本国首相の立場になって考えたとして、日本に「日米同盟」以外の安全保障オプションがあるか?
「日米同盟があるからテロの標的になるのだ」という論理は、少なくとも国際政治の場ではただの妄言であります。
今や、米軍は基地移転を掲げており、太平洋の守備ラインを下げています。
私は、その狙いを単に「軍縮」ではなく、もちろん軍事技術の発達によるものでもなく、また中共との太平洋分割統治でもない、と思います。私見ですが「今後、中共の混乱が近いうちに高い確率で起こると予想しており、かつての日本の二の舞、つまり大陸支那に巻き込まれて泥沼におちる愚を避けるために、防衛ラインを下げて距離をとる戦略」と見えてなりません。
この状況で、日米同盟が緩むということは、支那の混乱に日本が巻き込まれても米国はいっさい支援も介入もしない、という立場の表明だと思わなければいけないはずです。
「米国の中東を支援しない日本が、米国の支援だけを受ける資格はないだろう」というのが、おそらく米国の論理でしょう。
しかし、福田氏には、すでに再可決を乗り切る気力はありませんでした。

さらにテロ特措法延長問題に影を落としたのが公明党です。
政権政党である以上、本音は公明党でも「仕方がない」とわかっているのです。しかし、政府に対して「慎重な姿勢」を保つことで、つまり「自分だけ良い子」になろうとした。
福田氏は、実はかなり短気な性格です。辛抱たまらず「じゃあ、知らんぞ」とやってしまった。公明党にとっては寝耳に水ですが、福田氏に言わせれば「あんたらが反対するからじゃないか」となる。

麻生氏が、公明よりの姿勢を見せたのは、公明の5%を重視したからです。衆院選で、だいたい公明は5%前後の固定票を持ちます。自民党は前回の郵政選挙で大勝していますが、得票率の差でみると5%前後で勝った候補が半数近いのです。もっと簡単にいえば、もし5%がなければ、獲得議席が半分に落ちる。300以上の議席が150というのが単純計算の判断ですが、今の支持率ですと、ハッキリ言ってもっと落ちる可能性があります。私は、下手をすると「議席が100」だと思っています。
いいですか、「100議席減」ではない。「議席数が100」です。そんなラインだろうと見ています。
結論;自民党は次回下野。
可能性は限りなく高い、と思うのですが。

河野洋平氏は、麻生氏に「あんた、俺みたいになるよ」と耳打ちしました。「俺」とは、自民党総裁なのに首相になれなかった、という意味です。。。

この際、公明党に妥協して、過半数をとにかく維持、が麻生氏の戦略でした。
これに対して、福田氏は「仮に過半数をとって政権維持したとしても、参院は解散がないのだから、ねじれ国会は継続。民主が与党案に賛成することはあり得ず、重要法案はすべて廃案。今度は2/3再可決することもできず、どう転んでも政権は死に体」と読みました。
さんざん「ねじれ国会」に苦汁を飲まされた福田氏の思いは、ムリからぬところがあります。
「それならいっそ、公明と手を切って、たとえ負け戦でも、やりたいようにやる」が「賭け」でしたが、次回選挙が怖い自民党議員は、誰も福田氏とともに「討ち死に」を選びませんでした。
結果、福田首相は孤立。ひとり腹を切ることになりました。

さて、今後ですが。
誰を首相にしても、自民の勝利はない、と見ます。仮に勝っても「ねじれ継続」ですから、再び参院で廃案連発「解散しろ」となるのは見えています。
これをもって、福田首相は辞任会見で「私は(あなたと違って)客観的に自分をみることができる」と言いました。その心は、すでに自民政権は死んだ、ということです。

公明は、慌てて「野党連立」に走る可能性があります。しかし、今の民主には拒否されるでしょう。
民主は、公明との連立を断れば、より以上に支持率を稼げると分析済でしょう。

次回の衆院選で、民主政権が誕生する可能性は高いでしょう。
もちろん、長くもつとも思えないのですが。。。

今の自民党総裁を目指すということは、イエス・キリストが、自らの十字架を担いで、ゴルゴダの丘を登るのに似ています。
その行き着く先には、自らの磔刑があるばかりでしょう。

そんな茨の道を歩かなければならないなんて。理想に生きるとはそういうことなんでしょうかね。

「現実が見えるから」辞めてしまった福田首相には、正直言って親近感を覚えます。ムリもないなあ、と思うのです。

それにしても、今どき、日本国首相ほど馬鹿馬鹿しい商売はないと思うのですけどね。なんでも反対で、自分の意思は通せない。通せなければ、首相にリーダーシップがないと批判される。もっとも難しい仕事で、与えられるのは栄光ではなく非難だけであります。

選挙のない官僚が、政治家よりも偉そうにするわけでありますなあ。。。