Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

堕天使の街

「堕天使の町」サラ・グラン。

主人公のジョゼフィンは、かつて麻薬中毒であり売春婦だった。しかし、今では麻薬をやめている。彼女の職業は窃盗や万引であるのだが。
その彼女が、ある裕福な夫婦に、失踪した自分たちの娘の捜索を頼まれる。前金は1000ドル、成功報酬はあと1000ドルだ。彼女にとっては、結構な収入である。
彼女は、ニューヨークの裏社会に通じている。どうせ転落した女子学生の落ち着き先など、決まっている。簡単に、この依頼を彼女は引き受けた。
ジョセフィンの聞き込みの結果、女子学生は麻薬の売人をしているチンピラ男と一緒にいたことが判明。彼女は、この男の行方を追っていく。
ジョゼフィンは、女子学生がこのチンピラ男とすでに別行動をとっていることを探り出すが、それと同時にチンピラ男は殺される。
この殺人の背後には、麻薬取引がからんでいるらしい。その真相にせまったジョゼフィンは、殺人事件の疑いをかけられながら、身近な真犯人に辿り着く。
犯人に、あわや殺されかけるジョゼフィン。しかし、そこで彼女をマークしていた警察が犯人を射殺。
助かったジョゼフィンは、ついに転落した女子学生を発見する。ところが、彼女に捜索を依頼した裕福な夫婦は、なんと実在しておらず、ただの詐欺師だった!
そこで彼女は、チンピラ男の殺人事件について、まったく真犯人を勘違いしていたことに気づく。しかし、そのときは、すでに遅すぎた。。。

元ジャンキーの女性が、さいごに残ったひとかけらの愛のために献身し、そして滅んでゆく物語である。
哀切と言えばそうなのだが。
基本的に、日本人が好きなハッピーエンドはない。ただ、暗いNYの裏社会があるだけなのだ。

評価はナシ。ある種の暗黒小説のパターンを踏んじゃっているところが気にかかる。
ペーパーバッグ用に書き飛ばした感じがする。翻訳のせいだろうか。

ところで、先頃、日本でも1日にエイズに感染する人が4人とかいう記事を見た。たいへん憂慮すべき事態である。
アメリカの医療は、映画「シッコ」で書かれたように、15%の人々が無保険になっているのだが、一方でGDPに占める医療費の割合は15%である。200兆円を突破した、いや300兆円だという話もあるらしい。おそるべき数字である。
これじゃあ、公的医療が崩壊するはずである。
その医療費のうち、実は薬剤費は8%程度に過ぎない。日本はだいたい2割、といわれており、これは多い部類に入る。つまり、アメリカの医療は決して「薬漬け」ではないのに高いことになる。
医療費が高いから、人々はちょっとした病気程度では病院に行かないのだ。それなのに、なんでこうなのか?
もちろん、弁護士が100万人、年間40兆円という訴訟産業が大きな問題ではあるが、もう一つ、この麻薬の問題が大きいのである。
アメリカの医療費で目立つのは、成人病(肥満が多い)、脊椎損傷(自動車の交通事故が多く、しかも障害が残るために大きな負担になる)、精神疾患(ストレス社会なんでしょうなあ)、そして、麻薬(!)、エイズ
日本は、アメリカほど肥満の人は多くないし、車検制度のおかげか自動車事故も減少しており、麻薬禍とも縁が薄いと思っていた。
ところが、昨今、有名私大生のマリファナが問題となり、エイズがじりじりと増え、精神疾患の人も増加している。
単に、GDP比で医療が豊かだとか、逆に政府がけちだとかいう議論があるが、それ以前にこのような社会問題のほうが大きいように思う。当たり前だが、このような問題が少なければ、医療費は少なくて済むわけで、世界でも突出した医療費大国アメリカの背景には、社会全体が病人を作り出してしまう問題があるわけだろう。
日本でも、そういう傾向が出てきているとすれば、それは大きな問題だと思うのである。
マリファナなどに気軽に手を出すと、必ずよりタチの悪い麻薬(コカインやヘロイン)に堕ちていくのである。それこそ、お決まりのコースなのだ。
この小説はイマイチなのだが、それでも、若い人の麻薬問題は、ちょいと気になったりするのである。

そんなくだらんものをやっているぐらいなら、美味い酒はいくらでもあるじゃないか、などと思うのだが。
アルコールに勝るドラッグはない、などと言うのだぞ。あ、なに、それじゃ酒飲みの言い訳だ?、、、失礼しました。。。