Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

ジャンプ

「ジャンプ」佐藤正午

つきあって半年のガールフレンド(微妙だなあ。。。)の自宅に、月曜日の早朝の出張が入った主人公の三谷が転がり込む。
酒の飲めない三谷は、二人で入ったバーで「アブジンスキー」なる強烈なカクテルを飲んでべろべろに酔ってしまう。
ガールフレンドのみはるは、翌朝の日課のリンゴを買いに、近所のコンビニへ。
さて、翌朝、目が覚めた三谷だが、みはるは部屋にいなかった。失踪?
ところが、三谷は「どっかに出かけたのだろう」くらいに(強いて軽く考えて)そのまま出張に出かけてしまう。
なんと、みはるは、それから戻らなかった。。。
みはるの姉と三谷は、みはるの足取りを追い始める。

結論からいえば、みはると三谷は、5年後に再開するのだ。

これ、なかなかの名作だと思う。
一杯のカクテルを飲んだばかりに、人生が変わってしまった男の物語。
本当の原因は、カクテルじゃなくて、彼自身の性格にある。恋人が失踪したのに、とっとと出張に行ってしまう男だから。
けれども、そういう人間は、自分を変えられない。それが分かっているだけに、認めたくないのだ。
で、つい「あのときのカクテルのせいで」となる。
つまらないものだが、そういうもんだろうと思う。

評価は☆☆。
私は、優柔不断な主人公に、かなり共感して読んだ。情けない性格というのは、よく理解できる(苦笑)

「あのとき、○○していたら。。。」と思うことは、人生ではよくあると思う。
しかし、もちろん、そんなことは不可能なのだ。
だから「我、ことにおいて後悔せず」などという、決然としたカッコイイことを言う人物に憧れてしまう。
だって、自分は、後悔の連続なんだからさ(泣)

ただ、トシをとってくると、後悔もそうだが、自分の先行きも見えてきてしまう。
その切なさがあると、よけい後悔が深いわけだ。
で、つい酒を飲む。

この世の中に、酒があって良かったと思う次第である。