Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

営業と詐欺の間

「営業と詐欺の間」坂口孝則

実は、文字通り「営業と詐欺の間」を知りたくて買ったのだ。
すぐれた営業マンは、私の経験ではどう考えても口が上手い。よく「口べたでも誠意で売る凄腕営業マン」とかが営業の教科書に出てくるのですが、そういう人に会ったためしがない。
まあ、こちらの業界では、基本的にしゃべってナンボ。黙って売れりゃ苦労はしないわけで。

で、そうすると、ついつい売り込みはオーバートークになる。
「○○できますか?」「できます、できます。ばっちりです」が、実はオプションが必要だったり、「実績充分」がなぜか「当方が初の人柱」だったり。
もちろん、自分もそういうことをしてしまう場合が有るわけだが(ごめん)しかし、逆にやられてしまったケースも多々。
「この野郎」とは思うが、裁判までやるほどでなく、やったとしても微妙だ。
そんな「営業と詐欺の間」が、世の中にはたくさんあるわけだ。

しかし、本書の内容は、実は「ものほん、ばんばんの詐欺テクニック」のご紹介なのである。
押し売りからマルチ、催眠商法、はては新興宗教まで。
なあるほどねえ、、、と思う。こういうことを知っておいて、損はないのである。
というか、かつての取引先に、こういう人たちも居た。長続きはしなかったようだが。
こういう商売(詐欺)をやる人に共通するのは、ある意味で、実践的な「だましのテクニック」には恐ろしく精通しているくせに、その他のビジネスの基本的なことになると、からっきしダメなことであった。
一種の専門家であって、ホントの事業センスはないわけである。
それが分かってからは、この種の人たちに対する恐怖感はなくなってしまった。
実は、彼らはまっとうな営業に弱く、こちらの商品を売り込むと、結構買ってくれるんですな(笑)

評価は☆。まあ、そんなところで。

しかし、世の中には、大手を振って詐欺的営業をしている例も多々ある。
たとえば今の与党ですが、あのマニュフェストは「がんが治る○○茶」と同じじゃないだろうか?
「全部とはいってない」「すぐにとは言ってない」とかね(苦笑)
もっとひどいのは「一緒に行かないと、仕事はこれからないぞ」と脅かして、取引先の中小企業を支那に進出させた商社や大手メーカーであって、その後は知らんふりなんて、掃いて捨てるほどある話である。
これに比べりゃ、百科事典が20万円なんて、つつましすぎて涙だろう。

私が今まで見た中で、一番傑作だと思ったのは「飾っておくと運が良くなる絵」だった。
「ほんとに運が良くなるんですか?」「なる!必ずなる!!」と売り手は言うのだ。
断言するのも道理で、これはまず検証不可能なのである。
で、これをついつい「本気にして」買ってしまう人が、世の中にはいるわけだ。

割れ鍋に閉じ蓋。世の中は、案外そんなもののようですなあ。