Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

破産寸前の男

「破産寸前の男」ピーター・バーセルミ

主人公のボーモントは弱小広告代理店を経営している。
しかし、資金繰り急迫。秘書にろくに給料も払えなくなり、クルマを売ろうにも思った値段でうれず、タイプライターが一台いくらかと考えている。
もちろん、債権者からの電話は毎日である。
そんなボーモントのところへ、石油業界の若き大物、トマスが広告の依頼に訪れる。自社の株価をあげるような印象的な広告を打って欲しい、というのである。
ボーモントは、ありったけの知恵を絞って、素晴らしい広告コピーを考案、見事にプレゼンを終えて、広告の出稿にたどり着いた。
ところが、トマスの会社は、そんな広告は知らないという。
驚いてトマスに問い合わせると、広告はトマスの独断で、払えないことはない。しかし後払いである。
広告業界は口約束で進むし、広告料は後払いだ。
もしもトマスが支払いを拒否したら、ボーモントは破産してしまう。
そこに、トマスが取引を持ちかける。
トマスが指定するポイントに、ボーモントがヨットを出して、ある荷物をピックアップしたら、半金を支払うというのである。
仕方なくボーモントはその通りにした。そこでピックアップしたのは、南米から来た魅力的な若い女性だった。
トマスは、なんと麻薬の密輸を行っていたのである。
そして、ボーモントは、その片棒を担がされるために、広告発注を受けたのであった。
ことの真相をしったボーモントは怒るが、支払いを押さえられていては、抵抗するすべもない。
しかし、ボーモントは、秘書の助けを借りながら、逆転のチャンスをうかがう。
トマスは、彼の秘書の兄弟だったのである。
そして、ついに密輸品をピックアップするため、一同はヨットで荒天の海の中をポイントに向かう。
そこで、思わぬ裏切りが起こる。。。

どうもアメリカのテレビの2時間ドラマの脚本のような雰囲気だ。
つまり、なんともお手軽なのである。
もちろん、当事者の立場に立ってみたら、また事の見え方は違うわけなんだとうけれども。

評価はナシ。
全編にただよう軽いユーモアは悪くないが、わざわざ探して読む価値もないと言わざるを得ませんな(苦笑)。

まあ、それはそれとして。
窮地に陥った男が、起死回生の仕事に食いつく心理は、そりゃあよく分かるわけである。
ほんとにリアル(笑)。

しかし、うまい話には裏があるのは、何も小説の世界に限らないようである。
別に「ふりこめ詐欺」に限った話ではない。
だいたい、世の中そんなもの、ということである。
なにも、人を疑うせこい性格をおすすめするわけではないけれども、一攫千金はないものと思ったほうが間違いない。
そういう月並みな結論ですなあ。