Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

問題の本質

日本を代表する家電メーカー、パナソニックも2年連続で7000億円という大赤字。
まさに「歴史的敗北」といえる。

しかし、考えてみればこれも当然なのである。
今、パナソニックで何が売れているだろうか?

スマートフォンサムスン、アップルの独壇場。
テレビも韓国勢のサムスン、LGにやられている。
PCはdell。その上、業界全体がすでに成熟。
ゲーム機はスマホに変わった。
ブルーレイも不発。
白物家電は、だいたい行き渡り、旺盛な需要は途上国に移った。

私は、大きな勘違いがあると思っている。
つまり、「高くても、本当にいいものは売れる」という信仰のことである。

先進国では、既に主な家電はいきわたったから、基本的に「買い替え需要」しかない。
数がはけるのは、途上国の市場である。
そして、これらの市場では、機能がほどほどで、価格がこなれていなければ売れない。

パナソニックは、日本での高賃金を考えると、すでに体力勝負で勝てないのである。
だから「良いものなら売れる」高価格路線に邁進せざるを得ない。

しかし、それは先進国のメーカーが全部そうなのである。
だから、その市場は数が小さいうえに、血みどろである。

途上国にいけばコストで負ける。
先進国でいけば、数が出ない。
では、どうするのか?

方法論は3つある。
一つは、日本企業であることをやめることだ。
シンガポールに本社を移転し、税金を安くし、給料の高い日本人を雇うのをやめて、低コスト体質にする。サムスンやLGとの戦いになるが、しかし、彼らに次ぐシェアくらいはとれるだろう。
それで採算が合うようにするしかない。
二つ目は、規模を絞って、大企業をやめる。
何兆円も売って赤字なんて、ばかげている。もっと規模を絞って、先進国で「上質で高級なもの」に絞って、それでも食べていけるようにする。大メーカ-なんてやめてしまう。
三つ目は、新商品の開発である。
ようは、売れているものをマネして、販売競争と品質管理で勝つ「松下モデル」はできない体質になったわけだから、新手をやるしかない。
つまり「売れる、もったく新しい」商品をつくること。
しかし、これは難度でいえばウルトラEクラスである。

少し前に、安倍首相が外遊で原発を売りこんで話題になった。
私は、原発の将来性を評価していないので、このような行動には疑問を感じる。
現状の日本の原発技術は優れていて、アメリカが放棄したGEやウエスティングハウスをとりこんでいる。
普通にやって、負けるわけがないのである。
政府が支援しなくても、民間で充分に売り込めるはずだと思う。

しかし将来を考えた時に、「みんなが欲しがる」先進的システムではない。
それは、これから開発しなくてはならないのである。

日本には、そのシステムを作り出す能力がある。
冷静に世界の動きをみれば、もっと売れそうなシステムはいくらでもある。
ビジネスを作り出す決意がないだけである。
簡単に開発できないから、つくれば、容易にパクれない。

国土強靭化も、もちろん必要である。
しかし、建設業自体の波及効果は、かつてに比べて低い。
インフラのメンテナンスを考えると、これをどう行うかというシステム自体がない。
そういう巨大システムを作って輸出する。
一件一件の工事でなく、工事を計画するシステム自体をつくる。
将来的な電子政府の基礎になるシステムということになる。

そのくらいの大きな構想、巨大システムが必要ではないだろうか、と思う。
売るモノがない、だから赤字になるのである。

私の適当かどうかはわからないが、とにかく、みんなが欲しがるものをつくらないといけない。
数字合わせのリストラをするなら、会社を作り変えるレベルのことをしないと、生き残れない。

つまりは、覚悟があるかどうか。

株主総会で問われていたのは、その1点ではないだろうか、と思うのである。