Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

小池家康あらわる

まあ、くだらん感想をつらつらと。

都知事選は、三つ巴の事前予想と異なり、フタを明けてみれば小池氏の完全勝利だと言ってよい。
291万票という得票は、驚くべきである。
かつて、猪瀬氏の400万票という異次元の得票があったが、あれは有力対抗馬がいないという事情があった。
今回は、保守分裂に加えて、野党統一候補である。
それを大差で勝ったのだから、もう只者ではない。

まず、大ずっこけに終わった鳥越候補である。
野党統一ということで、宇都宮氏を差し置いて(!)突如出馬。勝ちパターンの「後出しジャンケン」最強パターンであった。
本人は有名人、おまけに野党統一である。
参院選のレンホウ氏の200万票だけでも当選ライン、その上に共産票まで乗せて、さらに有名人補正が加わる。「もはや無敵」と陣営が勘違いしたのも無理はない。
予想通り、終わった途端に「不正選挙だ」「しょせんムサシだ」「アメリカの陰謀だ」
自分達の思うようにならないと、これかよ(脱力)。
敗因は、なにはさておき、ともかく神輿が悪すぎたことである(笑)。
最後まで、都政と国政の区別が付かないお祖父ちゃんじゃあ、仕方がない。都民は冷静に判断したのである。
おまけに、無理矢理統一したから、演説が出来ない。原発一つとっても、共産は廃止だが、民進は電力労連がいるので、廃止はないのだ。
自由にしゃべらせると、それぞれの支持者が減る。制限すると、しゃべれない。
ただでさえ少ない演説会が、やたら短かったのは、本人の責任ばかりではないのである。
数を揃えれば勝てるという、烏合の衆の大軍のような選挙で大敗北。ひどい惨敗である。ある意味、当然?!

与党公認で出た増田候補は気の毒だった。
この人は、基本的に人の良いお役人なんである。
「都民は、安定した実務型の人物を求めている」という「天の声」があったせいで、この人が候補になった。
しかし、それは「天の声」の都合だったので、都民はぜーんぜん、そんな「小役人」をもとめちゃいなかった。
結果、与党統一でありながら、自民党支持者の半数に裏切られて完敗。
公明が7割の票を固めただけでも、大したものだ。それだけで50万票もあった。
なのに、なのに、である。
自民党の支持層は、やはり「消極的支持」なのだという実態を、満天下にさらすことになってしまった。
もっとも、民主主義において、支持が消極的なのは、ある意味で正常である。創○○会のほうが異常なのだ。
これは、支持者が悪いのではない。策を誤った都連幹部に失点がある。
根本的な争点設定を間違えた都連は、昔なら切腹ものである。
特に「天の声」を出した人。隠れてるんじゃねえよ、この○りも○!お前が老害そのものなんだよ。すっこんでろ。

で、小池氏である。
都民は、唐突な争点設定「自民都連のボス」に、最初は呆然としていた。「また劇場かよ、そうはいかねえぞ」
ところが、でてくる、でてくる、、、おかげで、みんな「コンパクト五輪」が肥大化していく仕掛けが、なんとなく見えてきたのだ。
争点設定で成功した小池氏の勝利である。

それだけではない。
さらにすごかったのは、地元の豊島の区長や区議達である。
言うまでもないが小池氏は、小泉郵政選挙のときに刺客で豊島区にやってきた落下傘だ。
だから、普通はこういう選挙はできないのである。
猪瀬氏もそうだし、あの田母神氏もそうなのだが、たとえばポスター貼り一つだって、都内で全部貼るのは、とても大変だ。
そこでカネを払ってやってもらおうとすると、これは利益供与、公職選挙法の買収になってしまうのである。
つまり、ポスター貼るにしても、電話をかけるにしても、みんな「ボランティア」がいないといけない。
普通は、国会議員には、こういう実働部隊がいないので、みんな市会議員や町会議員達に頼む。
その地方議員を握っている都連に、国会議員はアタマが上がらないのである。
ところが、小池氏の造反について、地元の豊島の区議達は、全員、決起前に事前に小池氏から意中を聞かされ、ただちに合力を誓ったのだ。小池氏は、一人で戦ったと言っていたが、あれは選挙向けの作文で、実は頼みにする股肱は、地元豊島区の区議達であった。
この区議達が、実際の選挙を仕切って大活躍したのである。たちまち人脈と傘下の手勢を使って、都内にくまなくポスターを貼り終わってしまった。あれよ、あれよ。
これは、もはや落下傘ではない。明らかに譜代の旗本級の働きである。
つまり、この選挙は、動きのにぶい大軍相手に、よく統率のとれた軽快な動きの小池軍が縦横無尽の進退をみせ、大将の軍配よろしくこれを打ち破ってみせた戦いであった。
あの徳川家康の「小牧・長久手の戦い」に匹敵すると言える。

小沢氏にドブ板を、小泉氏に空中戦を学んだ小池氏は、今や選挙の名将の風格がありますねえ。