Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

6日目の未来

「6日目の未来」ジェイ・アッシャー、キャロリン・マックラー。

アメリカの青春SF小説
青春SF小説などという分野があるのかないのか、それは知らないけど(苦笑)。
日本で言えば、筒井康隆「時を駆ける少女」あたりの立ち位置か。ラノベの元祖でもあるな。

舞台は1996年のアメリカ。WINDOWS95がデビューして、主人公のエマ(女子高生)は父親にパソコンを買って貰う。
そいつをモデムにつないで、隣家の幼なじみジョシュから貰ったAOLのCDを読み込ませて、初めてインターネットに接続。
当時のことなので、モデムがガーピー言ってるはずで、その間は電話が使えない(笑)。
で、その画面に現れたのは、なんとフェイスブックだった。
エマは、未来のフェイスブックに自分のアカウントを発見する。
どうやら、これは未来の(15年後の)自分を表しているらしい。
ところが、そこに問題があった。15年後の彼女は、どうみても幸せそうではないのだ。理解のない夫に疲れ果てて、別居中であり、離婚を考えているところだったのである。
エマはがっかりする。

ところが、そのうちに、大変なことを発見する。
彼女が現在でとる行動によって、未来が変わることがわかったのである。
エマは、自分の進学先の大学で不幸な結婚をする相手と巡り会うことがわかり、進学先の志望を変えた。
そうすると、別の男と知り合うことになった。だが、そこでも幸福そうでない。
一方、一緒にフェイスブックを覗いていた幼なじみのジョシュは、1学年上で校内きっての資産家でしかも美人と結婚し、彼女の父親の事業のひとつを引き継いで、豊かな暮らしをしている。
絵に描いたような幸福なのである。
そして、実際に、ジョシュはその美人令嬢とどういうわけか、今まで全く接点がなかったのに急に接近し、良い感じになってしまうのだ。
エマはこの有様を見て、嫉妬と二人の不公平さに取り乱す。
だが、そのうち、エマはその嫉妬が、単に二人の境遇の格差だけではないことに気づいてしまう。
そして、ジョシュもまた、同様に考え始めて、、、というお話。


王道の青春小説である。
その上、あのwindows95の懐かしい風景がてんこ盛りだ。
プロバイダーへの初期接続サービスが入ったCD-ROM、懐かしいモデムの音、電話回線のとりあい。
レンガとパイプのスクリーンセーバー

私も、つい、初めてパソコンを自作した時のことを思い出してしまった。
彼女に出て行かれてしまったガランした部屋が作業場で、そこで通販で買ったPCを組み立てた。
そこが出発点になり、パソコンへの興味から今の仕事に手を染めることになったのだ。
あのとき、パソコンを組み立てながら、たぶん自分はこういう仕事をしていくんじゃなかろうか、という変な予感があった。
まあ、実は、同棲して結婚まで真剣に考えていた女が出て行った空白の部屋を埋めるだけの行為だったんだけどね(苦笑)

50過ぎたオヤジが青春小説を読んだときの感想は、ひとつしかない。
「時は流れたのだなあ」

評価は☆☆。
最高の評価をしても良いのだけど、そこまで昔が懐かしいわけでもないので。
今の境遇に、それなりに感謝している、ということかなあ。
あと10年後に読み直したら、また評価が変わるかもしれん。
人生は、常に一寸先は闇なのだからねえ。