Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

幸せなひとりぼっち

「幸せなひとりぼっち」フレドリック・パックマン

最近のテレビ「まだ結婚できない男」ではないが、やっぱり50過ぎた男の一人暮らしというのは気になるものである。
で、こういうタイトルの本を買ってしまうわけだな。

主人公は59歳で職場から早期退職させられたオーヴェである。偏屈なジジイなのだ。
スウェーデン人なので、クルマはサーブかボルボでないヤツとは話ができないと思っている。
仲の良かった隣人がBMWを買ったので絶交したくらいだ。
若者がトヨタを買うと、どうしようもない愚行だと罵倒するが、それでも8000クローナの値引きと冬用タイヤのサービスがあったのでしぶしぶ納得している。ちなみに、トヨタを買う前にヒュンダイを見ていたことについては「さらなる悲劇の可能性があった」ということであって、それには同意するなあ。
で、この偏屈爺さんが、実は亡くなった妻のソーニャを深く愛していたことや、彼女との旅行での交通事故の悲劇、それにもかかわらずオーヴェの愛情がまったく変わらなかったことがつづられる。
そして、隣の家に引っ越してきた身重の移民女性。彼女がオーヴェのことを深く理解する。
オーヴェは口やかましいが、不正を憎み、常に公正であらねばならないと固く心に決めている男なのである。

エピソードの一つ一つがほほえましい。
あざといまでの、上手さである。
評価は☆☆。こりゃあ、仕方がない。

私は、オーヴェのような生き方に憧れるが、現実には正反対だ。
強いものには巻かれろで、昨日と違うことを平気で言い、もちろん他人の顔色を伺う。
信念なんか、欠片もないくせに、カッコだけはつけようとする。
早い話が小市民なのである。
鉄の意志なんて、あろうはずがないじゃないか。

つまり、そんな人間にとって、こういう話は「おとぎ話」なのだ。
著者も、充分にそれが分かって書いている。
だから、ずるいのである。
あえていえば、スウェーデン浅田次郎か(笑)

ね。トシをとると、僻みっぽくもなるようですぞ。