昭和の名コメディアン、小松政夫さんがなくなった。私が、もっとも好きだったコメディアンである。
「みごろ!たべごろ!笑いごろ」でキャンディーズの面々と繰り広げるギャグがおかしくて、毎週楽しみにしていた。
実は、私の地方ではキー局配信がなかったので、再放送の形で日曜日の昼に放送していた。文字通り「たべごろ」なわけで、日曜の昼ごはんを食べながらテレビを見て笑っていた。
そのあと、友人宅に遊びに行き、たった今見たばかりのギャグの真似をして、また笑うのである。田舎の高校生にとって、まさに日曜のオアシスだった。
あとで気がついたのだが、小松政夫さんのギャグというのは、サラリーマンが飲み屋でやるような芸だなあ、と。
宴会になると張り切るやつが、酒の勢いでやっちゃうタイプの芸である。それをテレビで堂々とやったわけで(笑)今でも妙におかしい。
昨年、ラジオを聞いていたら小松さんが出てきて、昨今のテレビのお笑いについて「アタシぐらいが偉そうなことは言えませんが」といいつつ「その場の瞬発力で、さっとウケることを言うんですよ。そうすると、目立つのがうまい人ばかりに注目が集まっちゃう。私らのころは、練習して、それを舞台に乗せましたから。目立たない人も、今週はメインでいくぞ、みたいなことは良くあった。今のやり方だと、おとなしい人とか、埋もれちゃうんじゃないですかね」とおっしゃっていた。
それで思ったのだが、小松さんは「目立つこと」と「面白いこと」を区別しているんだなあ、と。
「面白い=目立つ」とかんたんに直結していないわけである。面白いことと、目立つことは、常にイコールじゃない。
このへんを一番勘違いしちゃうと、究極は「迷惑系ユーチューバー」になるわけでしょうが、あれが面白いかどうかは別だということですね。
で、目立たないけど面白いやつもいるんだよ、と。
なるほどなあ、と思った次第。
今年は、志村さんに続き、またもやコメディアンの巨星落つ、という感じである。
心から合掌。