本日、内閣府が発表したGDP値は、速報値をさらに下方修正する結果となった。
前年対比-2.9%。前期比-0.7%
速報値ではそれぞれ-2.1%、ー0.5%だった。
平たくいえば「思ったよりも、景気は悪くなってますわね」なのである。これで岸田内閣の人気が上がるはずもないので「お前はもう死んでいる」かなあ。
景気後退が明らかになってきたわけだが、一番の要因として考えられるのは、円安による物価高である。物価が高くなれば、当然に消費が落ち込む。実際に、個人消費は-0.2%となった。これは3Qつまり7-9月の数字で、2Q4-6月に比べても更に下落しているわけだ。個人消費は日本のGDPの過半を握っているので、ここが落ち込むと当然に影響が大きい。
円安の原因は、主に日米金利差である。米国はコロナ回復期の猛烈な需要でインフレが凄まじく、それを抑えるために高金利をとっている。日本は、相変わらずマイナス金利政策なので、資金は米国に流れ込むことになり、円が売られる。
日銀は、長期金利をそろりと上げており、米国も高金利の限界に達しているので、今後は金利差が縮小するとの見通しで、一時150円をつけた為替は140円まで戻ってきた。
しかし、難しいのは今後である。
このGDP下方修正をみる限り、景気の後退は明らかなので、そうすると金利を上げるのはまずくなる。設備投資が抑えられ、さらに景気を冷やすことになるからである。ちなみに、設備投資は前期比-0.4%である。
かといって、金利を抑えると、今度は日米金利差が解消せず、円安が続く。つまり、物価高になり、消費を冷やし続けることになる。
早い話が「前門の虎=景気後退、後門の狼=物価高」という構図になっており、どっちに振っても副作用確定の場面となってしまったわけだ。
評論家は「日銀は難しい舵取りを迫られることになった」とオチをつけるわけですが、これはわかりやすく言えば「にっちもさっちも」なのである。どっちにしても、動きようがないであろうと思う。このままじっと、、、で長期下落、まあ突然崩落よりはマシなので、そういう方向になるのかな、と。
主導権を持てない経済はつらいですなあ。